# 旧聞since2009

# 偏食ミドリガメ

旧聞に属する話2010-マルくん

 写真は、4か月ほど前に拾ったミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)だ。夕暮れ時、海岸を散歩していたら、何やら石みたいなものがノソノソ動いている。拾い上げてみると、カメだった。甲羅の長さは7cmほど。そばに川が流れているが、コンクリートの護岸と堤防で隔てられており、小さなカメが乗り越えることができたとは到底考えられない。何か勘違いした人(カメはどれも海に住んでいるとか…)が捨てたのだと思い、連れ帰った。以来、金魚用の水槽を住みかにしている。

 親類や知人は「カメを拾うなんて縁起がいい」と口をそろえるが、このミドリガメ、生態系保護の観点からは相当の厄介者らしい。環境省のHPには、日本と世界の「侵略的外来種ワースト100」にそれぞれ選定されていることが紹介されている。佐賀城のお堀のハスを全滅させた犯人が、このカメたちだったという報道も昨年あった。どうも佐賀城では駆除が計画されているようだ。一方で、乱獲によりアメリカの原産地では絶滅の危機に陥っているとも聞く。おかしな話だ。

 ところで我が家にやってきたカメ。えらく偏食で困っている。ネットで調べたところ、ミドリガメの餌として多くの人がテトラレプトミンという配合飼料を推奨していたので、与えてみたのだが、まったく見向きもしない。カメは冬眠する時期になると、食欲がなくなるらしいのだが、それにしても食べ物として認識しているように見えない。この4か月間、配合飼料のほかに、乾燥糸ミミズ(「カメが大好き」と書かれていた)、キャベツ、食パン、リンゴ、ご飯、刺身などいろいろ与えてみたが、喜んで食べたのは、“新鮮な”タイとエビの刺身だけだった。

 どうしたら良いか、以前カメを飼っていた知人に相談したところ、明快な答えをもらった。「半冬眠の状態なので、基本的には食べない。タイの刺身だけを食べるのは、それは美味しいから」。なるほど。

 九州地方はここ数日えらく暖かい。初夏のような陽気となった24日には、早くも冬眠から目覚めたカメたちが甲羅干しをしているのを見た。うちの偏食カメさんも、そろそろ食欲を増していろんなものを食べてくれるだろうか。
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# 偏差値と高校中退率

旧聞に属する話2011-高校中退

 「偏差値の低い高校ほど中退率が高い」。福岡県内にある私立短大の教授が、県内の公立高校110校の中退者数をもとに、こんな研究結果を明らかにしたのは1991年7月のことだった。

 今となっては多分常識であり、当時も多くの人が「薄々は気付いていた」のだが、数字の裏付けはなかった。県教委が「個人が特定されかねず、プライバシーにかかわる」として、学校ごとの中退者数開示を頑として拒否していたからだ。中退問題を研究していた先の教授がこの数字を入手できたのは、県教委を相手取った長い情報公開訴訟に勝訴した後のことであり、それからわずか2、3か月後、教授は研究結果の一端を中間報告の形で世に問うた。それだけ数字は雄弁だったのだ。

 一部を紹介すると、110校の中退者の約50%を特定の20校が占めており、この20校の大半が、いわゆる偏差値の低い学校だった。一方、中退者の少ない20校はすべて地元で評判の高い普通科進学校で、これらの学校の中退者数はゼロに等しかった。偏差値による序列化が格差を生んでいるのは明らかだった。高校ごとの中退者数が個人のプライバシーにかかわるはずなどない。県教委がこの数字の公表を渋ったのは、明らかに自分たちの無策が表ざたになるのを恐れたからだろう。

 昨年は『ドキュメント高校中退-いま、貧困がうまれる場所』(ちくま新書、青砥恭著)=写真=が出版され、偏差値の低い、いわゆる「底辺校」に進学するのは、多くが貧困家庭の子供たちであるという実態を公にした。著者は2001年から「親の所得によって進学する高校が決まり、高校間の格差によって子どもたちの人生、生き方や文化さえも決まると主張」していたが、当時は受け入れられなかったという。

 ただ、先の福岡県のデータが出た際も、偏差値の裏に家庭環境があるのではということは、一部教育関係者の間でささやかれていたように思う。ただ、あくまでもヒソヒソ話であり、表に出ることはなかった。差別と糾弾される恐れがあったからだ。現在、貧困と学力の関係が堂々と語られるようになったのは、子供の貧困問題がそれだけ深刻になったということだろう。

 それにしても『ドキュメント高校中退』で紹介されている底辺校生徒の学力実態は、ちょっと信じられないレベルだ。「『五五の次はいくつ?』と聞いても、一〇%の生徒はできない」「一円玉、五円玉、一〇円玉をいくつか出して、『全部でいくらになる?』と聞いてもわからない生徒もいる」。九九を満足に出来ない生徒も多く、特に七の段は怪しいという。

 親の経済状態と学力に相関関係があると言っても、いくら何でもという気がする。今の日本の義務教育は、貧困家庭の子供には満足に九九を教えることもできないのだろうか。同書には「LD(学習障害)を放置されて入学してきた生徒も少なくないのでは」という教師の談話も紹介されているが、これが事実ならば、なおさら義務教育が壊れかかっているのは間違いないという気がする。

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# 川南造船所跡

旧聞に属する話2010-川南造船所跡5

 以前、佐賀県伊万里市の海岸沿いを走っていた時、異様な建物を見かけたことがある。コンクリート製の巨大な建造物で、工場、または発電所のように見えたが、閉鎖からかなりの時間がたっているのか、荒廃した雰囲気が漂っていた。

 興味をひかれたが、先を急いでいたこともあり、そのまま通り過ぎた。後日気になって調べてみた。建物の正体は「川南造船所」跡。佐賀県のホームページには、戦時中は軍需工場として稼働し、特攻兵器「人間魚雷」を製造していたとある。戦後もしばらくは操業を続けていたが、1955年に閉鎖され、今ではすっかり廃墟と化しているのだという。

 半世紀以上も放置されていることに呆れたが、県側にも言い分はあるらしい。造船所跡地があるのは埋立地だが、公有水面埋め立て免許の失効後に完成したため、法律上は“土地ではなく、海に流れ込んだ土砂の上”。そして、この土砂の権利関係が複雑なのだという。正直なところ、「何もしなかったこと」に対するお役所ならではの言い訳にしか聞こえないが、手を付けるには、ちょっと面倒な代物だったのは確かだろう。戦争関連の遺構だけに、簡単に壊して良いものかという思案もあったようだ。

 近隣住民にしてみれば、安全や治安の面からも心配だ。「何とかしてほしい」と長年要望を続けていたが、伊万里市が昨年ごろから、ようやく腰を上げ、建物の一部を「平和遺産」として保存した上で、周囲を緑地化する計画をまとめたと聞く。戦争の貴重な生き証人だけに、安易に解体しないのは非常に良いことだと思う。これまでの行政の無策が、かえって良い方向に働いたと言えるかも知れない。

 ところで、この造船所跡について調べる中で、「廃墟マニア」とも言うべき人々が多数いるのを知り、少し驚くと同時に、納得もした。確かに廃墟には、荒廃した中にも華やかだった時代の記憶が詰まっているようで、初めて訪れた場所でも郷愁みたいなものを感じる時がある。1960年代、エネルギー革命の大波をかぶった九州北部には、炭坑をはじめ多数の廃墟が今も残っている。その代表的存在だった長崎沖の軍艦島が、昨年の一般上陸解禁以来、非常な人気を集めているのもそんな理由からだろうか。

 ただ、廃墟という場所柄か、恐ろしい思いをすることもあるようだ。川南造船所跡でも昨年3月、名古屋から訪れていた男性が、白骨遺体に遭遇したという。一件を報じた記事によると、死後2年で、近くにロープが垂れ下がっていたことから、自殺の可能性が高いらしい。そう言えば、数年前にも似たような話があったなと思い出した。ただし、もっと生々しい。

 2004年9月4日早朝、福岡県二丈町にあったホテルの廃墟(現在はすでに取り壊されている)で、大学生の男女4人が肝試しをしていたところ、首つり自殺した男性の遺体を見つけたのだ。こちらは死後数時間、その状況を想像すると…。肝試しどころの話ではない。さぞかし怖かったに違いない。

 <注>伊万里市が建物の一部を保存する方針と書いたが、2月23日の朝日新聞報道によると、同市は造船所跡を1年以内に撤去することを決め、その費用を新年度予算案に計上したという。




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駄田泉

管理人:駄田泉
福岡の中小企業に勤める定年間近の中年オヤジです。物忘れが激しくなったため、ボケ防止のためにブログを書いています。主に福岡の情報を紹介していますが、タイトル通り、新しい話は何もありません。Twitterではたまに、胡散くさい情報を発信。