大渇水の懸念強まる?

旧聞に属する話2011-室見川

 福岡市水道局が発表している「きょうのダム状況」を見ていただきたい。6日現在、8ダムの平均貯水率はついに60%を割り込み、平年を20ポイントも下回る水準にまで落ち込んだ。中でも最大の水がめ江川ダムの貯水率は39%台。1978年の大渇水の際、「役立たず」「名前が悪い」とののしられたダム(「ドラフトと福岡大渇水」参照)は今回も苦戦気味だ。

 新聞報道等によると、梅雨に平年並みの雨量があれば、渇水は避けられると市水道局は見込んでいるようだ。過去2回の大渇水の時も春先の段階では確か同じようなことが言われていたが、空梅雨だったことでダメを押され、いずれも最終的に300日近い給水制限が続いた。あまり楽観的に構えない方がいいかもしれない。

 例えば、過去の給水制限の際、我が家には水をためておくポリタンクや、水を流しやすい形状のバケツ(風呂の水をくんでトイレを流すのに重宝する)などがあったが、いつの間にかなくなった。節水が何より重要ではあるが、最低限の備えは必要な気がする。

 聞くところによると、福岡市の水道水はダム、市内を流れる河川、筑後川の三つによってまかなわれており、割合はちょうど三分の一ずつだという。前回大渇水時と大きく異なるのは、この三つに加えて福岡地区水道企業団(福岡都市圏のほぼ全域に水道水を供給)が運営する海水淡水化センターが稼働していることだろう。2005年に完成したこの施設では、海水を濾過して1日5万トンの真水を作り出している。1人の水使用量を1日あたり200リットルと仮定すれば、ちょうど25万人分に当たる量だ。

 福岡都市圏の人口は250万人近くに膨れあがっているので、その1割をまかなえるに過ぎないが、天候に全く左右されないセンターの存在は頼もしくもある。ただし、詳しい数字は分からないが、ダムや河川水から水道水を作り出すよりもはるかに経費がかかるらしい。福岡都市圏の水道料金がえらく割高なのは、この施設も一因と聞いた。

 写真は潮干狩り客でにぎわう室見川の河口。
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桑原敬一さんの銅像発見

旧聞に属する話2011-桑原氏胸像1

旧聞に属する話2011-桑原氏胸像2

 福岡市早良区にある福岡市博物館の敷地を散歩していたら、懐かしい人のブロンズ像があった。3代前の福岡市長、故・桑原敬一氏の胸像だ。像の建立を巡って市議会がもめたことは漠然と記憶していたが、まさか博物館に建てられていたとは思わなかったので、少々驚いた。てっきり博多湾内の人工島(アイランドシティ)あたりにあると思っていたのだ。昨年夏に完成していたらしい。

 桑原氏は労働事務次官等を経て1986年から98年まで、3期12年間にわたって市長を務めた人だ。市長在任期間はちょうどバブル景気直前から崩壊後の不景気の時期にかかっている。市長としての“現段階”での評価は「功罪相半ばする」といったところだろう。

 桑原氏の都市経営策を単純化すれば、アジア太平洋博覧会やユニバーシアードなどの大規模イベントを呼び水に都市基盤整備を進めるというものだったと思う。東京オリンピック以降、全国で多用されてきた政治手法だが、バブルの崩壊直後ぐらいまでは結構つぼにはまり、当時の福岡は「日本一の元気都市」などと“自称”していた。

 また、市の第3セクター博多港開発を使って博多湾内をガンガン埋め立て、企業に売却する事業も西部地区埋め立て(シーサイドももち、マリナタウン)までは好調だった。神戸市のやり方を真似たものだが、福岡市は一時「福岡株式会社」などともてはやされたものだ。

 桑原市政の下で福岡市の基盤整備は確かに進んだ。以前は漁港同然だった博多港は貿易港として飛躍的に発展し、都市高速をはじめとする道路網や競技施設等も立派になった。このあたりは「功」の側面だと思うが、その一方で、桑原氏が建設を進めた人工島は不良資産と化し、地下鉄3号線は走るごとに赤字を垂れ流している。不況の現在、むしろ桑原市政の「負」の側面の方が強調されているように思える。

 私も桑原氏のことを人工島建設を強引に進めた「バブリーな市長」と思っていた。そのため胸像が建っているとしたら人工島だろうと勝手に思い込んでいたのだが、博物館を会場に開かれた九州・沖縄サミット蔵相会合誘致などの実績を称え、この地に建立されたらしい。

 人工島や地下鉄3号線をけなしたが、こういった社会基盤・都市基盤は整備された時点では無駄に見えても、未来では先見性を絶賛されているかもしれない。現段階の評価と、後の時代の歴史的評価とでは大きく違う可能性はあるだろう。だからこそ市長の像などは、歴史的評価が定まってから建てても遅くはない気がする。

 胸像の出来は、少なくとも生前の桑原氏に良く似ている(ご本人はテレビで見た程度だが)。桑原氏の前の市長、進藤一馬氏の全身像は福岡市美術館前にある。
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黄砂がうっとおしい

旧聞に属する話2011-黄砂1

旧聞に属する話2011-黄砂2

 この連休の間、福岡には連日のように黄砂が襲来し、視界も空気もすこぶる悪い日が続いている。北部九州特有の話かと思ったら、テレビニュースによると、首都圏でも観測されており、はた迷惑な中国からのお客さんに国内各地がうんざりしていたようだ。

 昔、学校で黄砂について学んだ時は、中国奥地の砂漠で嵐によって巻き上げられた黄土が偏西風に乗って日本にやってきていると聞き、「壮大な自然現象だな」とむしろ感じ入っていたものだ。だから春の風物詩と思い、以前は気にとめたことさえなかった。ところが、最近はうっとおしくて仕方がない。

 中国という国に対する私の意識の変化も大きいのだろうが、実際に黄砂が襲来する頻度が高くなっているのではないかと思い、気象庁のサイトで調べてみた。気象統計情報の中に1967年以降の黄砂観測日数が掲載されており、年によってばらつきは大きいものの、2000年以降観測日数が増えていることが確かめられた。1971~2000年の平均観測日数は年間約20日。これに対し、2001年からの10年間の平均では約30日で、ちょうど10日間も増えている。これではうっとしいはずである。

 なぜ、黄砂が増えているのか。要するに中国内陸部の砂漠化が進行しているためのようだが、その原因については地球温暖化のほか、土地利用の失敗など諸説ある。黄砂とともに大気汚染物質が日本を襲っているという指摘もあり、もはや春の風物詩と笑っていられる時代ではないのは確かだ。
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