加茂ゆらりんこ橋

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 福岡県糸島市の二丈渓谷に「加茂ゆらりんこ橋」なる吊り橋が架かっていることを最近知った。1994年の完成で、全長100㍍。大分県九重町の九重夢大吊橋(全長390㍍)や宮崎県綾町の照葉大吊橋(同250㍍)などには到底及ばないが、福岡県内の吊り橋としては長い方だといい、しかも「1本のワイヤーで吊られた橋としては世界有数の長さ」(糸島市の公式サイト)だとか。何より名前がいかにも大揺れしそうな「ゆらりんこ橋」なのである。これは高所恐怖症の吊り橋好き(?)としては是が非でも行かねばなるまいと思い、台風19号が過ぎ去り、秋晴れが戻るのを待って出かけてきた。

 最寄り駅は福岡市営地下鉄と直通運転しているJR筑肥線の大入(だいにゅう)。高校生時代、海水浴で何度も来た場所で、この駅の目の前には白砂青松の砂浜と青い海が今も広がっている。ここから稲刈り真っ盛りの棚田が並ぶ農村地帯を通り抜け、30~40分程で加茂ゆらりんこ橋に着いた。加茂とは二丈渓谷を流れる川の名前にちなんでいる。

 さて本題の加茂ゆらりんこ橋は写真のような形状である。夢大吊橋や照葉大吊橋のように高さ百数十㍍の場所に架かっているわけではなく、せいぜいその十分の一といったところか。しかも渡ってみて驚いた。標準体重オーバーの私がドスドス歩いてもびくともしない安定した橋で、まったく“ゆらりんこ”しないのである。大汗をかきながら恐る恐る吊り橋を渡るのが大好きな人間としては少々物足りなかった。往復した後、吊り橋の下を確認してみると、なんと立派な橋脚があった。これでは揺れないはずである。

 ただ、安心して渡ることができた分、周囲の景色を楽しむことはできた。普通の吊り橋では怖くて景色を眺める余裕などない。ゆらりんこ橋の上から海側を眺めると、通ってきた山里の向こうに真っ青な玄界灘が開け、眼下には加茂川が勢いよく流れていた。6月頃はホタルの乱舞を見ることができ、晩秋には紅葉が楽しめるという。残念ながら福岡では10月中旬のこの時期、木々の葉はまだまだ青々としている。紅葉の季節はもう少し先である。




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消えたサーンプラプーム

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 些末な話だが、百道中央公園(福岡市早良区百道浜)の駐車場横にあったタイの祠サーンプラプームが消えている。確か夏の前まで、5基の祠が整然と並んでいたのだが、駐車場の拡張工事に伴い撤去されたようだ。1989年、埋め立てが完了したばかりの百道浜を会場に開かれたアジア太平洋博覧会の遺産の一つだった。ひょとっしたら、どこかに保管されている可能性はあるが、かなり痛んでいたうえ、あまり物を大事にしない福岡市のことだから、恐らく解体したのではないだろうか。

 ただ、祠と向かい合わせに置かれていたヤップ島の巨大な石貨は、設置場所が少し変わったものの健在で、以前は文字が薄れて読みにくかった説明文が新調されていた。この石貨もあちこちひび割れ、補修した跡はあるが、基本的に原型を保っているので、こちらについては今後も保存していく考えなのだろう。

 以前、この一帯には古代の地中海交易船キレニア号の復元船やインドネシアの高床式米蔵など、数々のアジア太平洋博覧会の展示品がそのまま飾られていた。雑多ながらもカーニバルの後の余韻みたいなものを漂わせ、散策しがいのある場所だった。その遺品たちが次々に朽ち果て、撤去されていき、一帯は近代的ながらも平凡な景観の街になってきた。

 アジア太平洋博覧会から今年ではや25年。四半世紀が経ったのだから、木造の建物や船が老朽化しても不思議はないが、少なくとも私の眼には福岡市が維持管理に注意を払ってきたとは思えなかった。財政難の中、わざわざ金を掛けるまでの代物ではなく「朽ち果てたらそれまで」というスタンスだったのだろう。それはそれで一つの考え方かもしれない。

 アジア太平洋博覧会に参加したタイやインドネシアの関係者が仮に福岡市を再訪することがあった場合、25年前の自国の展示物が残っていなくても別に不満には思わないだろう。しかし、もし健在だったならば、恐らく感激し、福岡市の行政や市民に対して深い信頼を抱いたのではないかと思う。“アジアのリーダー都市”を僭称する福岡市にとっては、少し惜しい話だった。


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