全国行脚していた『ポルト・リガトの聖母』

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 改装工事のため2016年9月から2年以上も休館している福岡市美術館が来年3月21日、リニューアルオープンすることが決まった。絵画や彫刻などには一切興味も関心もない人間のため、この美術館にはもう10年以上もご無沙汰だが、同館が所蔵する東光院の仏像が今春、小郡市の九州歴史資料館で展示された際にはわざわざ見に行き、満足して帰ってきた(「東光院の仏像を見てきた」)。博物館、資料館と名の付いた施設には喜んで出かけるのだが、これが美術館になると、なぜか敬遠したくなる。そう言えば、首都圏に暮らしていた時も上野の国立博物館には何度も行ったが、隣の国立西洋美術館は全く無縁だった。

 東光院の仏像が九州歴史資料館で展示されたのは、福岡市美術館の改装中、仏像を資料館が預かっていたためだ。福岡市美術館の所蔵品は1万6000点にも上るが、その中心になっているのは、こういった歴史資料ではなく、サルバドール・ダリやジョアン・ミロ、アンディ・ウォーホルらの現代美術作品で、では、これらの作品群は休館中、どこにあったのだろうか。調べてみて驚いた。評価額6億円と言われるダリの大作『ポルト・リガトの聖母』(縦約275㌢×横約210㌢)をはじめとする現代美術コレクションは、全国の美術館から引っ張りだこで、「福岡市美術館所蔵品の中から、えりすぐりの作品を展示」と銘打った企画展さえ各地で開かれていたのだ。

 例えば、2016年には東京・国立新美術館、京都市美術館の2か所で、「ダリ展」が大々的に開かれたが、目玉作品の一つだったのが『ポルト・リガトの聖母』。昨年夏には、同じく改修工事のため休館中だった北九州市立美術館と福岡市美術館が所蔵する絵画を一堂に集めた「夢の美術館」なる展示会も宮崎県立美術館で開催されている。

 今年は横須賀、広島、さいたまなどの各市で「モダンアート再訪ーダリ、ウォーホルから草間彌生まで」という展示会が開かれたが、これこそが福岡市美術館所蔵品を紹介する企画展。横須賀美術館の開催予告には「福岡市美術館の1万6000に及ぶ所蔵品の中から、前衛的な試みで世界に衝撃を与えてきたモダンアートの作品67点をえりすぐり、20世紀美術の流れをたどります」とあった。ルーブル美術館展、大英博物館展など海外の名だたる美術館・博物館名を冠した展示会が国内ではよく開かれているが、まさか福岡市美術館でそんな企画が成り立つとは夢にも思わなかった。同館の現代美術コレクションは、想像以上に高い評価を得ているのだろう。

 福岡市美術館では来春のリニューアルオープンと同時に記念展が開かれるが、タイトルは「これがわたしたちのコレクション」。各地で人気を集めてきた所蔵品の数々を、美術館展示室のすべてを使って紹介しようという試みで、発表資料には「1979年の開館以来、最大規模のコレクション展示」と記されている。現代美術だけでなく、黒田家絡みの歴史資料なども展示されるようなので、10数年ぶりに美術館のぞいてみようかと思う。
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紅葉八幡宮のライトアップイベント

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 福岡市早良区高取の紅葉(もみじ)八幡宮で25日まで、色付いた境内の木々をライトアップするイベントが開かれた。小雨が降る中、24日夜に行ってきたが、ライトアップの他、本殿にプロジェクションマッピングを投影したり、1,000個の灯籠や傘のオブジェで境内を彩ったりと、こぢんまりしたイベントながら、雰囲気はなかなか良かった。この催しが、ほぼ神社の単独イベントであることがもったいないと思った。神社近くには、旧唐津街道沿いに連なる西新、高取、藤崎商店街があるのだから、商店街や近隣施設とタイアップすれば、商店街への集客も見込めるのではないだろうか。

 モデルケースとして参考になると思うのは、博多区御供所町、呉服町の寺社が多数参加するライトアップイベント「博多千年煌夜」だ。今年は10月31日~11月4日に開かれたが、5日間の期間中の人出は10万人を大きく超えたと聞く。パンフレットを持参すれば、特定の飲食店では割引やサービスを受けられる特典もあり、会場を巡った後、博多の街で食事等を楽しんだ来場客も多かったことだろう。

 残念ながら、西新・高取・藤崎地区には、博多旧市街のように寺社が集中してはいないが、やや距離はあるものの、同じ旧唐津街道沿いの中央区今川、地行地区には複数の寺社があり、中には集客イベントに積極的な所もある。部外者の無責任なアイデアだが、現在はそれぞれが単独で行っているイベントを日程調整して近接させ、さらに両者の間にある商店街で買い物や食事を楽しんでもらう仕掛けを作れば、結構面白いと思うが。

 紅葉八幡宮は、室町時代の1482年(文明14)、現在の西区橋本に創建され、藩政時代の1666年(寛文6)、福岡藩3代藩主・黒田光之によって現在の早良区西新に移されたと伝えられる。無人の海岸地帯だった西新地区はこれ以降、紅葉神社の門前町として発展したという歴史がある。1913年(大正2)、北筑軌道の路面電車が境内を横切ることになり、喧騒を嫌った神社は現在地の小高い丘に再度移転したが、紅葉神社こそが、西新地区の生みの親であるのは間違いない事実だ。

 西新地区にほど近い中央区地行浜のホークスタウン跡地には今月、マークイズ福岡ももちが華々しく開業し、現在の所、多数の買い物客を集めている。一方の西新地区は2015年にプラリバ、16年にイオン西新店と相次ぎ大型店が閉店し、商店街の人通りは明らかに減った。今後はマークイズ開業の影響も出てくることだろう。プラリバ跡地には商業施設が開業予定だが、まだ1年先のことで、しかも施設規模はプラリバの半分に縮小される。イオン西新店の跡地に至っては、いまだに再開発プランが全く示されていない。なじみの店の閉店ラッシュは今も続いている。利用客の一人として、商店街がこれ以上衰退するのは本当に困る。
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「160万都市」の過疎

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 福岡市中央区・西公園の光雲(てるも)神社石段下で、十月桜の若木2本が小さな薄いピンク色の花を咲かせている。昨秋、この桜に初めて気付いた際は「狂い咲き」と勘違いしてツイッターで紹介し、恥をかいたが、春、秋の2回開花する変わった桜だ。全国の十月桜の名所では紅葉とのコントラストで人気を集めている例が多いらしい。西公園にも「もみじ谷」という場所はあるが、残念ながら十月桜とは場所が離れている上、葉はまだ青々としている。先日、山間部の早良区曲渕の国道263号線沿いで紅葉を撮影してきたが、こちらは見頃を過ぎつつある様子だったのだが。

 その曲渕地区にある唯一の学校、曲渕小学校が児童数減少に伴い来年3月末で休校になると聞いた。学制公布翌年の1873年(明治6)に創立された歴史ある学校で、現在は29人の児童が在籍している。曲渕小学校の歴史の中では決して少ない数ではないのだが、実はこの全員が小規模校への特別転入学制度「山っ子スクール」を利用して校区外から通ってきている子供たちだ。昨年度から地元の児童はゼロとなり、今後も増える見込みがないため、144年の歴史をいったん閉じることになった。今後、学校が再開される可能性はゼロではないが、市教委は今年2月の市議会常任委員会で「現時点で可能性は低い」と明言しており、このまま廃校になるだろうと報道されている。

 曲渕校区は広さ12平方㌔の広大さだが、大半は脊振山系の山林で、校区内に住んでいるのは2017年現在、72世帯、140人に過ぎない。ほぼ半数が65歳以上。2000年のデータと比べれば、世帯数はほぼ横ばいなのに、人口は60人も減っている。高齢者だけの世帯が増えているのだろうと想像される。山っ子スクールで29人もの子供たちが曲渕小学校に通っていたのは、田植えやタケノコ掘りなど同校ならではの体験活動が人気だったことも一因と言われるが、これらの活動には地域住民たちが協力してきた。しかし、住民の減少と高齢化で、学校を支えていくことが年々困難となり、地元児童がゼロとなったのを機に、地元側から早期の休校を求める声が上がったという。

 今月の福岡市の推計人口は158万1527人。人口が150万人を突破し、市が大はしゃぎしていたのは2013年のことだが、いつの間にか160万人が目前となっている。早々と「160万都市」と表現している報道機関さえある。しかし、一方で周縁部では、地域の中心だった小学校を自ら手放す決断を強いられるほど過疎と高齢化が進んでいる。「日本一元気な地方都市」などと浮かれている場合ではない。
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予想外に人気だった「かなたけの里公園」

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 福岡市西区金武の「かなたけの里公園」に散歩がてら立ち寄ってきた。田畑を買収し、そのまま公園化した農業体験施設で、広さは約14㌶。整備費は33億円に上るが、そのうちの27億円までを用地買収費が占める。福岡市郊外では田畑など珍しくもない。やむを得ぬ「事情」があったことは知っているが、こういった公園にニーズなどあるのだろうか、と疑問に思ってきた。ところが、休日午後の公園は、小学生らしき年頃の子供を連れた家族で大にぎわいしていた。意外だった。

 この公園を整備せざるを得なかった「事情」とは、この土地にかつて、福岡市によって自然動物公園整備が計画されていたことだ。中央区の住宅街のど真ん中にある市動物園は広さは10㌶と手狭のうえ、1980年代後半頃には老朽化が進み、新築移転構想が持ち上がっていた。その候補地となったのが金武地区だったのだ。

 1996年には、同地区の農村地帯50㌶に、飼育する動物の生息環境を再現した国内有数の自然動物公園を整備するという基本構想を策定するなど、市は本気だった。一部市民の間では移転反対運動が巻き起こっていた程だ。しかし、この構想は一歩も進むことなく、2002年に取りやめとなった。動物公園整備には450億円の巨費が見込まれ、財政事情の悪化で、不要不急の巨大プロジェクトに取り組む余力がなくなったためだ。

 これに困惑したのが、10数年もの間、動物公園計画に振り回され、土地利用を拘束されてきた金武地区の住民たち。要するに「かなたけの里公園」とは、動物公園の埋め合わせだったのだ。

 こういった経緯で整備された公園でもあり、必要性に疑問を覚えていたわけだが、冒頭紹介したように、市民の人気は上々の様子だ。入場無料、出入り自由の施設のため、来園者数は集計できないようだが、公園が主催する体験プログラム等の参加者は開園初年度は2万6000人あまりだったのが、2015年度には7万人を突破するなど、増加の一途だという。私が想像する以上に、多くの市民にとって土に触れる機会は貴重だったのだろう。福岡市も都会になったものだとつくづく思う。犬のフンはあちこちに転がっているが。
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千年煌夜、今年はじっくり

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 福岡市で10月31日~11月4日、寺社が立ち並ぶ博多旧市街をライトアップで彩る「千年煌夜」が開かれ、期間中は好天に恵まれたこともあり、大勢の見物客でにぎわった。私も日本シリーズの移動日だった11月2日に行ってきた。「日本シリーズの移動日」とわざわざ書いたのは、昨年は仕事の都合で結果的に最終戦となった日本シリーズ第6戦の日に行かざるを得ず、試合経過を気にしながら慌ただしく会場を巡ることになったからだ。今年は心おきなく見物することができ、メイン会場の御供所エリアだけでなく、少し離れた呉服町エリアにも足を延ばしてきた。閻魔堂で有名な海元寺(博多区中呉服町)など初めて足を踏み入れた寺も多く、良い機会になった。
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