阿蘇清峰高校とテイエムドラドラ

旧聞に属する話2011-阿蘇

 熊本県阿蘇市に県立阿蘇清峰高校という学校がある。県立農学校として創立されたのは1901年。100年を超える歴史を持つ伝統校だ。この学校に縁もゆかりもないのだが、昨年秋、同校の運動会を伝える記事を読み、「変だけど、いい学校だなあ」と妙に感動してしまい、ファンになってしまった。

 何が変なのかというと、運動会の名物行事が「人間対ポニー」の100m競走なのだ。同校馬術部がインターハイ常連の強豪であるのに加え、学校のある阿蘇地域でかつて、盛んに放牧が行われていたことから、学校の特色にしたいと始まったのだという。過去2年間の対戦成績は1勝1敗だったが、昨秋はポニーが爆走、陸上部員らに圧倒的差を付けて、勝利を飾った。

 このポニー爆走の記事でも十分笑ったのだが、暮れには、これまた変わった持久走大会が報道された。ペースメーカー役を務めたのが、今度は元競走馬のサラブレッド。生徒たちは当然体操服だが、馬にまたがる馬術部顧問の教諭が、びしっと燕尾服で決めているのが、また笑える。

 ところで、この馬の名は「テイエムドラドラ」。生徒か教師が冗談半分で付けたのだろうと思ったら、競走馬時代の本名だった。テイエムの冠でわかるように、競走馬時代の馬主は、あの「テイエムオペラオー」で知られる竹園正継氏。父はデインヒルの子・デザートキング、母の父はマルゼンスキー。ノーザンダンサーをクロスした魅力的血統ながら、JRA時代(鹿戸明厩舎に所属)の成績は4戦4敗と不振だった。引退後は、こうやって高校生たちに大事にされている。幸せな生涯と言えるだろう。

 この阿蘇清峰高校は今年4月、同じ市内にある阿蘇高校と統合し、阿蘇中央高校となることが決まっている。OBや地元住民らは反対運動を展開したと聞くが、少子化による生徒数減の流れには逆らえなかったようだ。現在の1年生が卒業する2年後には、このユニークな学校が消えるのかと思うと、部外者にも寂しいものがある。せめてこれらの魅力的な行事が、新しい学校でもぜひ続いていってほしいと思う。写真は阿蘇の外輪山。
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