古賀市長


 ずいぶん昔のことだが、福岡県古賀市にほんの一時期住んでいたことがある。就任したばかりの新市長・竹下司津男氏(写真下。古賀市の広報紙から)に経歴詐称疑惑やカルト教団在籍の過去が持ち上がり、騒ぎになっているあのまちだ。

 私が移り住んだのは、市制施行(1997年)から間もない時期で、JR古賀駅を降りての第一印象は「醤油くさいな」だった。駅の裏側には工場が立ち並んでおり、その中にニビシ醤油の工場が今もある。駅から少し離れた国道3号線沿いの工場団地には、ハウス食品の福岡工場もあり、この近辺はカレーのにおいがプンプンしていた。自転車で市内をウロウロすると、あちこちで食欲をそそられたものだ。

 寂れた駅前商店街(写真上)には少し衝撃を受けた。地方都市の中心商店街衰退は全国共通の課題のようだが、この商店街の場合、規模が大きく歴史も古いものだから、衰退ぶりが際立って見えた。もう一つ驚いたのは、大規模な清掃工場をわざわざ新興住宅地の近くに建設しようとしていたことだ。当然ながら、大掛かりな反対運動が起きていた。そこそこの規模の工場団地があるのだから、例えば北九州市のように、その一角に清掃工場を建てれば、ここまで騒ぎにはならないだろうにと思ったものだ。

 当時、清掃工場建設を進めていたのは、昨秋の市長選で竹下氏に敗れた前市長・中村隆象氏。この人は新日鉄を退職して古賀に帰郷した当初は、件の新興住宅地に居を定めたが、反対運動が激化すると慌てて転居していったらしい。中村氏は「大家さんの都合で引っ越さざるを得なかった」と釈明したものの、大家さん側が「自分から出て行ったくせに」と暴露、清掃工場反対派をさらに怒らせていた。

 実在しない会社の社長を名乗っていたという竹下氏の経歴詐称疑惑に比べれば、ずいぶん可愛いものだが、新興住宅地の住民たちの中村氏に対する拒否反応は結構強烈なものがあった。昨秋の市長交代劇の裏にはドロドロした政争があったとも聞くが、古い話ではあるものの清掃工場問題も中村氏落選の伏線になったかもしれない。

 竹下氏の経歴詐称疑惑については、中村氏支持者らが公選法違反の疑いありとして粕屋署に告発、同署が捜査を進めているという。竹下氏に身を引く考えはないようだが、常識的に考えれば、辞職→再選挙という流れも十分あり得るのではないか。4月の統一選で行われる県議選古賀市選挙区、古賀市議選では竹下氏の存在そのものが争点となるのは間違いない。彼を擁立した地元自民党関係者をはじめ、捜査の行方をかたずをのんで見守っている人は多いことだろう。


旧聞に属する話2011-古賀市長
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