東京疎開作戦

旧聞に属する話2011-富士山

 都内に住む家族が23区内の別の場所に引っ越した。「この非常時に」とも思ったが、早くから決まっていたので仕方ない。手伝いのため新幹線で東京に向かったが、えらく乗客が少ないのに気づいた。逆に帰りは品川以降ずっと満席状態。しかも小さな子供連れの女性が異常に多かった。3連休直前だった関係かもしれないが、「疎開」という古い言葉が思い浮かんだ。

 都内の日用品不足は深刻だった。のんきな家族が「トイレットペーパーが切れかかっているんだけど」と言うので、「どうするつもりだよ!」と慌てて西武沿線に多い有名スーパーに走った。だが、商品棚はものの見事にカラ。辛うじて購入できたのが、昔懐かしい束になったチリ紙だった。九州の田舎でも今は見ない。急場はしのげたが、今なお製造されていたことに少し驚いた。

 売り場をしばらく眺めていて興味深かった。チリ紙を手に「良かった~」というような表情でレジに急ぐのは年配の方々ばかり。若い人は手に取ってしげしげと眺めた後、結局買わない人が多かった。「水洗使用可」とは書かれていたが、ちゃんと流れるのか心配だったのだろう。私自身も水洗に使うのは初めてで、最初は恐る恐るだった。

 生活用品の流通量自体は普段以上に多いらしいのだが、店頭からこうも商品が消え、電力事情も逼迫している状況下だ。被災地への物資を確保するため、疎開と言っては大げさだが、西日本に実家がある人には緊急避難的な里帰りを奨励してはどうか。ちょうど春休みに入ったことでもある。しばらく時間をおけば、首都圏も落ち着くことだろう。西に向かう新幹線や飛行機はますます混雑するかもしれないが、交通機関が潤うのは悪いことではないはずだ。

 写真は16日、東京行きの新幹線車中から撮った富士山。前日、静岡県富士宮市で震度6強の地震があり、心配したが、東海道・山陽新幹線は朝から通常運転だった。富士宮市も大きな被害はなかったという。日本はやはりすごい国だと思う。
関連記事
スポンサーサイト
[Edit]