福岡市の持ち家比率37%

旧聞に属する話2011-福浜団地

 福岡市の公式サイトで、市営住宅事業を対象に行われた
2010年度包括外部監査の結果が公表されている。依然として3億円近い家賃滞納を抱えているなど問題は山積のようだが、こういった点以上に、監査結果が浮き彫りにした福岡市の住宅事情が非常に興味深かった。

 一番関心をひかれたのは市営住宅入居者の世帯状況だ。独り暮らしと2人世帯が合わせて66%を占めている。しかも高齢者の割合が高いらしい。高齢社会の進展や、民間が高齢者世帯に住宅を貸したがらない風潮を考えれば、十分に予想できたことだが、核家族世帯も多いのではないかと漠然と考えていた。しかし、3人以上の世帯の割合は34%にしか過ぎない。

 入居者を決める抽選の倍率も、平均の約20倍(これも十分高率だが)に対し、単身者用の高齢者住宅に限れば、実に40倍を超える。福岡に限った話ではないと思うが、おおざっぱに言えば、市営住宅はもはや子育てではなく、老後の場となっている。

 福岡市の持ち家比率が37%と極めて低いことにも驚いた。19政令市の中では唯一4割を切っており、当然最下位。40%台にしても大阪(40%)、川崎(44%)など5市だけで、13市までは比率が5割を超えている。トップの新潟に至っては65%もの高率だ。

 福岡市が極端に低率である理由について監査では特に言及はないが、人口に占める学生の割合が高い(6%弱)ことが理由の一つではあるだろう。ただし、もっと高い京都(10%弱)の持ち家比率は52%だ。福岡市民の年収に比べ、一戸建て住宅やマンションの分譲価格が高過ぎるのだろうか。あるいは市民の気質的な要因があるのかもしれない。

 持ち家比率の低さと市営住宅入居者の高齢化は、恐らく密接にかかわっている。だとしたら、今後の福岡市の住宅政策は容易ではないか。市が今まで行ってきたのは、早良区百道浜や東区香椎浜、あるいは人工島などで顕著だが、市や第3セクターが率先して地価のバカ高い住宅地を造ることだ。当然、地価の高さは民間の住宅分譲価格に跳ね返り、百道浜などでは一戸建てはおろか、マンションの中にも分譲価格が億を超える物件がある。福岡には不釣り合いという以外にない。行政がやるべきは、安価な住宅供給を先導することではないのか。

 流れに任せて市営住宅を高齢者住宅に特化する方がより簡単とは思うが、高齢者にだけ税金を集中投入する現在のようなあり方は、市民の理解を得るのが段々と難しくなるに違いない。写真は、中央区の市営福浜団地。
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