旧末永邸の焼け跡

旧聞に属する話2011-旧末永邸1

旧聞に属する話2011-旧末永邸2

 所用のついでに福岡市城南区にある旧末永邸を見学してきた。昨年4月、小中学生による放火で全焼した昭和初期の洋館だ(「昭和の洋館燃える」参照)。火事から1年以上が経ったが、焼け跡がそのまま残っていたのには少し驚いた。今なお美しい姿をとどめているので、撤去する気にならないのだろうか。

 全焼した際の報道によると、この洋館は1930~35年(昭和5~10年)頃に建てられたという。正確なことは言えないが、この時代以前に建てられた木造の洋館など福岡市にはあまり残っていない気がする。思い浮かぶ限りでは福岡県公会堂貴賓館、一部教会建築ぐらいだ。

 同じ福岡県内でも近代以降、官営製鉄や貿易で栄えた北九州市の戸畑、門司では、いずれも国重文のJR門司港駅、旧門司三井倶楽部、旧松本家住宅などのレトロ建築が堂々たる姿をとどめ、しかも今なお現役の駅や結婚式場などとして大事に使われている。門司に関しては「高度成長から取り残され、開発を免れたので古い建物が残った」と皮肉な言い方をされることもあるが、どこかに街の歴史を残したいという意志もあったのだろう。

 焼け跡となった旧末永邸を今さら文化財として保存することは意味ないことだが、もっと早い段階で保護の網をかけることができなかったのだろうか。火災後に「昭和の名建築」と称えられても、それこそ意味がない。
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