質実剛健な博多ポートタワー

旧聞に属する話2011-ポートタワー

 福岡市の博多港にある博多ポートタワーで5日、展望室(高さ70m)付近から部品が落下する事故が起き、同日から当分の間臨時休館している。完成が半世紀近く前の1964年というから、老朽化が事故の原因らしい。ところで、このタワー、全国でもあまり例がないほど太っ腹な観光施設であるのをご存じだろうか。展望室からは福岡市街地や博多湾が一望でき、夜10時まで営業しているから夜景も楽しめる。なのに入場は無料なのだ。

 管理・運営している市の発表資料によると、タワーの年間入場者は約24万人。多いか少ないかは判断が分かれるところだが、私は意外に多いと思った。日韓高速船が行き来する波止場が近いこともあり、韓国人観光客には穴場的な観光名所として人気と聞くが、福岡市が全国に向けてPRしているようには思えないからだ。

 同じ福岡市の海岸沿いにある弟分の福岡タワーは、展望室(123m)に上がるには大人800円もの料金をふんだくられるのに、年間35万人の入場者を集めている。福岡タワーの展望室の方が50m以上も高いことに加え、1989年完成と比較的新しいため、見た目もおしゃれな感じなのが人気の理由だろうが、その一方で、このタワーは「恋人の聖地」などと非常に恥ずかしい売り出し方をされている。普通の人はひくだろう。

 それに比べて博多ポートタワーは、東京タワーや通天閣などの設計者として有名な「塔博士」こと内藤多仲が手掛けた歴史ある建造物だ。内藤が博多ポートタワー以前に設計した別府タワーは、現実に国の登録文化財ともなっている。こういった点をきちんとPRすれば、心ある観光客は気色悪い「恋人の聖地」ではなく、質実剛健な博多ポートタワーを選ぶかもしれない。加えてもう一度繰り返すが、何しろ無料なのだ。

 博多ポートタワーの来歴に関しては、色々なサイトが紹介しているので詳しくは書かないが、完成当時は「博多パラダイス」なるスゴイ名前のレジャーランドの一施設だった。現在、立体駐車場になっている場所にはジャングル風呂などもあったらしい。私が小学生ぐらいのころまで存続していたようだが、家族そろってレジャーに行くような家庭には育っていないので、一度も行ったことがない。子供のころは別に何とも思わなかったが、古くから福岡に住んでいるのに昔話ができないのはちょっと寂しい。
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