長身だった金隈の弥生人

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 福岡市博多区に金隈(かねのくま)遺跡という国史跡がある。弥生時代の集団墓地の跡で、ここの展示館には発掘当時の遺跡の姿がそのまま保存されており、甕棺の中に納められた人骨さえ見ることができる。一見、プラスチック製の模型のようだが、腐食しないように特殊加工された本物の人骨だと聞く。一部考古学ファンは、この遺跡の見学に行くことを「墓参りに行く」と言っているらしい。

 面白いのは、埋葬されていた「金隈人」の平均身長がずいぶん高いことだ。市教委発行のパンフレットによると、遺跡からは348基の甕棺墓を中心に500基近い墓が発見され、136体の人骨が出土しているのだが、(明記されていないが、恐らく成人の)平均身長は男子が162.7センチ、女子が151.3センチにものぼる。私の親世代よりも高いぐらいで、実際に日本人の平均身長がこの数字を上回るのは、何と戦後になってからだという。
 
 社会実情データというサイトに掲載されている日本の平均身長・平均体重の推移によると、日本人の平均身長は弥生時代にいったんピークに達した後、江戸時代末期まではほぼ一貫して低落傾向にあったようだ。やはり仏教伝来以降、食事に制約が増えたことなどが影響しているのだろうか。

 「金隈人」の高身長に関して、市教委は朝鮮半島人との混血が一因とみているようだ。人骨136体の年齢別内訳は、子供の骨が残りにくいこともあり、成人が99体までを占める。ただし、墓のサイズから類推できる被葬者の年齢は、やはり圧倒的に子供、しかも1~6歳の幼児が多いという。幼児死亡率が高い社会は、食糧事情は必ずしも恵まれていないようには思える。だとすると、長身はやはり遺伝的要因のためなのだろうか。

 <金隈遺跡>福岡市博多区金の隈1-39-52。1968年、果樹園整備の際に発見された遺跡で、72年に国史跡に指定された。紀元前2世紀から紀元2世紀まで、約400年間使用された墓だが、鏡などの副葬品がなく、一般庶民の共同墓地とみられている。展示館の開館時間は9時~17時で、入館は無料。


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