中学版「花園」開催へ

旧聞に属する話2010-鯛生

 数年前、中学ラグビーのブロック大会ですごいシーンを見た。劣勢のチームが終盤、ダメ押しとも思えるトライを決められた時だ。下級生と思われる選手がガックリうなだれていると、主将らしき選手が「下を向くな!まだ終わっていない」とどなりながら、下級生の顔をボコーンと下から殴りあげたのだ。本当に「ボコーン」と音がするぐらいの激しさで、殴られた子は痛さと(おそらく)悔しさでボロボロ涙を流し、そしてノーサイドまでの数分間、鬼気迫るような表情でプレーを続けたのだ。

 中学ラグビーの特徴は、15人制ではなく、FW5人(第3列がない)の12人制であることだ。これ以外は、基本的なルールはほぼ同じ(だと思う)。人数が少ない分、選手一人ひとりが、高校・大学以上に過酷な試合を強いられることもある。ある大学のラグビー場を借りて行われた中学生の大会で、こんな場面にも出会った。

 その大学の部員らしい数人が試合を観戦していた。中学時代にはラグビーの経験がなかったのだろう。「スクラムは押してはいけないんだな」などと興味深そうに話し合っていたのだが、徐々に口数が少なくなり、最後には黙りこくってしまった。対戦しているチームには明らかに力の差があった。一方のチームが次々にトライを決める。もう一方は、試合途中から12人全員がグチャグチャの顔だった。それでもあきらめることなく、ただひたすらタックルを続けた。確かに、応援の保護者すら言葉を失うほど、凄絶な試合だった。

 元日の読売新聞に「中学版『花園』開催へ」という記事が載った。日本で開催される2019年のラグビーワールドカップに向けて、主力となる選手を発掘することなどが狙いだという。長野県・菅平で今夏、第1回大会が開催される。

 中学生世代の全国大会としては、全国高校ラグビー開催期間中、同じ花園で選抜チームによるジュニアラグビー全国大会が開かれているが、注目度はゼロに等しい。今季の大会は12月29、31日に開かれ、大阪勢同士の決勝戦の末、大阪府中学校選抜が優勝を飾ったが、結果を速報したメディアは、日本ラグビー協会のホームページぐらい。当の読売新聞も全く報道していなかった。単独チームによる初の日本一決定戦開催は、ラグビー少年たちの大きな夢となるのは間違いない。その分、日本一が決まるまでには、多くの子供たちが過酷な試合を経験することになるのだろう。
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