地下鉄「福岡地所」線


 珍しく福岡市営地下鉄七隈線に乗ってきた。ラッシュアワーをちょうど過ぎたぐらいの時間帯。以前、同じような時間に乗った時はガラガラだったので、同様の状況だろうと予想したが、思った以上に乗客がいた。依然、年間数十億円もの赤字を出しているお荷物路線だが、乗客はわずかながらも増加傾向らしい。

 赤字解消のため、現在は天神南で途切れている路線を、大型商業施設キャナルシティ博多経由で博多駅に延伸しようという計画も動き出している。先頃には地元経済界や沿線の大学、自治会などからなる延伸促進期成会も発足した。

 この期成会、一応は民間組織のようだが、事務局が置かれているのは、福岡市幹部が天下りするための財団法人(理事長は元市局長)で、財団自体が市交通局に入居している。期成会などどこも一緒なのだろうが、お粗末なほど市役所お手盛りの組織である。“官民一体”で延伸計画を進めたいのならば、表に出るべき民間企業が別にあるのではないか。

 七隈線の西の始発駅・橋本には今春オープンした「木の葉モール」なる商業施設がある。運営しているのは地場デベロッパー・福岡地所。さらに延伸によって、同社の超ドル箱施設であるキャナルシティまで通るようになる。一部で「これではまるで七隈線ならぬ福岡地所線」という声が上がっているようだが、無理からぬことだろう。

 キャナルシティ経由の延伸ルートが複数案の中から選ばれたのは、費用対効果が最も優れているためだと市は説明している。実際に七隈線の利用客が増え、それで福岡地所も潤うのならば、福岡市全体にとってはいい話で、別に目くじらを立てる必要はないと思うが、本来の計画にまったくなかったキャナル経由の延伸案が1、2年前、魔法のようにひょいと飛び出てきたことがどうにも不可思議なのである。本来あった計画案とは一体何だったのだろうか。

 数号前の市政だよりで地下鉄30周年が特集された際、この延伸計画についても触れられていたが、説明は20行に満たなかった。報道機関を通してだけでなく、市自身がもっと市民に対して直接説明すべき事柄ではないだろうか。他の延伸案よりも安いと言いながら、450億円もの費用が投じられるのだから。


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