動物園での苦い思い出


 以前、別府の地獄巡りで大口を開けたカバに出会い、子供時代の苦い思い出がよみがえったことがある。私の親族がやらかした出来事で、次のような話だ。一種の動物虐待で、かなり犯罪的なのだが、ウン十年前のことなのでご容赦願いたい。多分、こんなモラルのない人間は今はいないことだろう。

 私が小学生の頃、親戚の結婚式がとある動物園の近くであった。披露宴がお開きになった後、せっかく近くにあるのだからと一族郎党で動物園に行くことになった。家族そろって動物園に行くような文化環境で暮らしていた家系ではない。私をはじめとする子供たちは滅多にない体験に最初は大喜びだったのだが、後に恥ずかしさでいたたまれなくなった。

 大人たちは披露宴の祝い酒で完全に出来上がっており、だから動物園に行くなどという柄にもない行動をとったのである。入園した途端、子供以上にワーワー騒ぎだし、それだけでも十分恥ずかしかったのだが、叔父の一人はどこで仕入れてきたのかウイスキーのポケット瓶を懐にしのばせていた。自分で呷るのならばまだましだが、何とそれを大口を開けたカバにドバドバと流し込み始めたのである。大人たちは大笑いだったが、子供にとってはたまらない。その場から走って逃れた。

 発酵した木の実を食べたアフリカゾウやヒヒが酔っぱらって千鳥足になる映像を昔見たことがあるのだが、調べてみると、「ビューティフルピープル」というドキュメンタリーだったようだ。この作品にはカバは出なかったと記憶するが、ゾウが酔っぱらうのだからカバも酔っぱらうことも恐らくあるだろう。ただ、ウイスキーのポケット瓶程度なので、人間でも酒が強ければ一気飲みして平気な量だ。巨体のカバには何の影響もなかったと信じたいが…。
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