台風に期待した結末は


 5月には渇水が懸念されていた福岡市だが、梅雨に入って大雨が続き、むしろ水害が心配される事態になってきた。ダムの平均貯水率もいつの間にか100%に迫り、平年を大幅に上回っている。雨は欲しいが、降り過ぎると困る。「時により過ぐれば民の嘆きなり八大竜王雨やめさせたまへ」といったところである。

 タイトルは1978年の話である。この年の9月、九州北部や山口を台風18号が直撃した。10人以上の犠牲者を出すなど大きな爪痕を残したのだが、この台風、待ち望まれた存在だったのである。福岡大渇水の最中だったからだ。

 ところが、期待された雨をまったくもたらさず、猛烈な風が吹き荒れただけだった。犠牲者の多くは、風に吹き飛ばされた板の直撃を受けるなどして亡くなったのである。台風が去った後、福岡は粛然とした雰囲気に包まれた。いくら水不足だからと言って、台風という災害要因に期待した心持ちの是非について自省せざるを得なかったのだ。

 やはり大渇水に見舞われていた1994年、台風を「空の給水車」などともてはやすような報道があった時、私や周囲の人間は強烈な違和感を持った。78年の記憶は薄れたのだろうか。写真は、台風が九州近海を通り過ぎた直後の西区愛宕浜。
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