引き揚げ港・博多の常設展

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 福岡市中央区荒戸にある市民福祉プラザの一角に今月23日、「引揚港・博多~苦難と平和への願い」と題した展示コーナーがオープンした。実際に引き揚げを体験した市民らから寄せられたリュックサックや柳行李、防寒帽といった生活用品や写真パネルなど計約100点が展示されている。展示スペースの規模も展示資料の数も非常にささやかなものだが、博多港の引き揚げの歴史を伝える初めての常設展示施設だ。

 終戦後、中国や朝鮮半島から祖国に引き揚げてきた人は約660万人と言われる。このうちの約139万人が上陸したのが博多港で、この数は全国18の引き揚げ港の中で佐世保と並び最多らしい。引き揚げ港と言えば、『岸壁の母』の舞台でもある舞鶴が有名だが、ここに上陸したのは約66万人で、博多の半分以下にとどまる。ただ、舞鶴はシベリア抑留者の引き揚げ港として長く歴史を刻んだため、引き揚げの「代名詞」となったのだろう。

 博多に引き揚げてきた人が多かったのは地理的条件から言っても当然だが、この歴史がきちんと語り伝えられてきたとは言い難い。記憶の風化を恐れた引き揚げ体験者らが、記念碑の建立や資料館(常設展示施設)の建設を求める運動を始めたのは20年ぐらい前だったと記憶している。結果としてこれが市を動かし、1996年には中央埠頭に記念碑が完成した。しかし、常設展示施設の方は、予算の問題や単独施設を造る程の資料が収集できなかったこともあって長いことペンディングになっていた。

 記念碑建立から15年の歳月を経て、ようやく常設施設が完成したわけだが、引き揚げの実相を伝えるには、展示資料は質量ともに不十分と思える。港から遠くはないと言え、福祉プラザなる施設に開設したのも不可解だ。正直なところ、「お茶を濁した」という感じがしないでもないが、長年、開設を訴えてきた関係者の方々は非常に喜んでいるとも報道されている。これはこれで第一歩として評価すべきなのだろう。

 <福岡市市民福祉プラザ>福岡市中央区荒戸3-3-39。開館時間は午前9時~午後9時(第3火曜休館)で、入館無料。


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