救急車で犬を運んで!

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 「救急車で犬を運んで!」とは意味不明のタイトルだが、福岡市で昨年実際あった迷惑119番の実例だ。市の公式サイトに昨年の救急・火災統計が掲載されているのだが、この中に「対応に苦慮する119番通報事例概要」として紹介されている。犬が車に轢かれたための通報で、恐らく飼い主からだったのだろう。

 ほかにも容易には信じられない119番がいくつかある。「夫と電話がつながらない。様子を見に行って」「川の中にカバンを落とした。消防は来てくれないのか」「おなかがすいた。食堂まで連れて行って」「薬を持って来て」「鍵をなくしたので、合鍵を作って」……。

 また、救急車の出動要請を受け、実際に病院に運んだのは昨年1年間で5万6943人に上ったが、41.8%に当たる2万3817人は入院する必要もない軽症者だったとか。「結果的に軽症で終わった」人もいただろうが、軽症者4割という数字に、いかに軽い気持ちで救急車が呼ばれているかがよくわかる。そんなにタクシー代を払いたくないのだろうか。

 うちの近所にも伝説的な話がある。とあるマンションに救急車がけたたましくやって来た。何事かと通行人らが見守っていると、着飾ったご婦人がトランクを持って子供と一緒に玄関に現れ、悠然と救急車に乗り込んでいったそうだ。何でもあらかじめ決まっていた子供の入院日だったらしく、しばらくは「すごい神経だね」と評判になっていた。

 こういったモラル崩壊にどこの自治体も頭を悩ませているようで、横浜市消防局のサイトにも福岡市と同じような通報事例が載っている。「水虫がかゆい」「子どもを近くの病院に連れて行きたいが、夕食の準備が忙しくて手が離せない」。鳥取県では以前、年に100回近く救急車を呼ぶ“常連”もいたと日本海新聞が伝えている。

 就任したばかりの橋下徹・大阪市長はこんな状況に業を煮やしていたのか、早くも救急車の有料化検討を表明している。例によって「重病なのに経済的理由でためらってしまう人が出たらどうする」という反発も出ているようだが、経済的困難を抱える人には免除する制度を設け、それをきちんと周知徹底するということでは駄目なのだろうか。

 (無料の)タクシー代わりに利用する人間が後を絶たないため、危急の際に出動できる救急車が1台もない――市民の命を守るためには、こんな状況を作らないことの方がよほど大事に思える。
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