「雄弁」「力」「勝利」「自由」

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 福岡市博物館が改修工事のため4月2日まで長期休館している。ただ、日中は敷地内に立ち入ることができ、晴れた日には散歩している人を結構見かける。また、館の玄関前に飾られている4体の彫刻目当てに訪れる人もいるようだ。近代彫刻の巨匠の一人と言われるアントワーヌ・ブールデルの作品で、タイトルは男性像が「雄弁」と「力」、女性像が「勝利」と「自由」。高さは3.75m、台座も含めれば4.55mにも上る巨大なブロンズ像で、重さは1tを超えるらしい。

 博物館のサイトによると、像が鋳造されたのは1918~22年。福岡市の市制100周年(1989年)を記念し、パリのブールデル美術館から購入したという。もともとはアルゼンチン建国の功労者の一人、アルベアル将軍の記念碑の一部としてデザインされたもので、同じ彫刻が世界に8組存在するらしい。日本国内でも福岡市博物館のほかに、箱根にある彫刻の森美術館が1組を所蔵し、野外展示している。愛知県美術館も一揃いを所蔵しているが、こちらは高さが1.2m程と小さく、制作時期も1914~16年と早い。習作なのだろうか。

 ブールデルの代表作の一つと高く評価される作品であり、個人的にもこういった「わかりやすく」力強い作品は好みなのだが、4体の像はアルベアル将軍の事績などを擬人化して表現したものだと聞くと、少々生臭く感じる。「雄弁」「力」「勝利」「自由」、いかにも政治家が好みそうな言葉だからだ。福岡市がこの像を購入した市制100周年当時の市長は?と調べてみると、博物館に胸像があるこの人だった。まるでアルベアル将軍を称えるごとく、4体のブロンズ像は元福岡市長を称えているように見えなくもないが、元市長の胸像が建立されたのは彼の死後のことで、本人の全くあずかり知らぬことであった。
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