執行猶予付き死刑


 1999年6月、福岡空港敷地内の緑地に中国人女性の遺体が遺棄されていた事件で、中国に逃げ帰っていた交際相手の男に同国側が「執行猶予付き死刑判決」を下していたとの報道が2月4日あった。「執行猶予」という表現に戸惑ったが、“服役中”に一定期間(この事件では2年)問題を起こさなければ無期懲役などに減刑するという仕組みで、少し古い産経新聞記事には「死の恐怖を与え、人間改造を図る」手段とあった。当たり前だが、保釈されるわけではないようだ。

 肝心の事件をまったく覚えていなかったので、図書館で古い記事を探してみた。それによると、遺体を最初に見つけたのは緑地の手入れをしていた造園業者で、死後約3か月。当初身元不明だったが、所持品等から不法滞在していた元研修生の中国人女性と後に判明した。交際相手の留学生が彼女を通じて金を借りまくっていたことがわかり、疑いの目が向けられたが、すでに出国した後だった――というのが事件の概要だ。

 女性の死因は不明のため、日本では厳密には殺人事件として扱われているわけではないが、金銭のもつれから凶行に及んだと想像できる。被害者が同じ中国人であることを別にすれば、福岡一家4人殺害事件をはじめ、その後多発した中国人留学生による金目当ての凶悪犯罪と同根の事件と言えるだろう。

 2月4日の記事によると、福岡県警は中国側に捜査協力を求めていたが、何の音沙汰もなかったため、捜査資料も提供していない。なのにICPOを通じて照会したところ、すでに10年前の2002年、男に死刑判決が下されていたことがわかった。福岡県警は中国側がどのような証拠に基づき裁いたのか首をひねっていることを記事は伝えている。刑が執行されたかどうかの回答も依然中国側からはないという。

 それにしても2002年とは。被害者が同じ中国人だったことも大きいだろうが、日本で犯した罪に対し、例え中国に逃げ帰っても厳罰が下される。しかも、きちんとした証拠がなくても。この判決がもっと早く明らかになっていれば、「留学生の犯罪」の抑止力になっていたかもしれないのに、と惜しまれる。福岡一家4人殺害が起きたのは翌2003年6月のことである。それとも同国人を殺害しては証拠がなくとも厳罰に処される。だから、日本人に牙をむき始めたと考えるべきだろうか。

 写真は遺体が見つかった福岡空港第3ターミナル付近。
関連記事
スポンサーサイト
[Edit]