人工島事業、385億円の減収

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 福岡市が博多湾で進める人工島(アイランドシティ)事業の収支が180億円の赤字になるとの報道があった。一向に土地が売れないため、市は分譲価格を大幅に引き下げる方針で、これによって見込んでいた125億円の黒字がきれいさっぱり消え、逆に大幅赤字に転落するという。

 差し引き305億円の減収となる計算だが、この事業で減収が明らかになるのは初めてのことではない。2009年の事業計画見直しの際にも今回とは別の区画の分譲価格を引き下げ、80億円の減収となると公表していた。減収は計385億円の巨額に上るわけだ。これは「見通しが甘かった」で済む話なのだろうか?

 アイランドシティの公式サイトに2009年策定の事業計画が掲載されているが、この時点の収支計画は下表のようになっていた。土地分譲は、港に面した産業用地の第1~4工区、島の東部に位置する主に住宅地の第5工区に分けて行っており、2009年に分譲価格を引き下げたのは第5工区。最初の減収80億円はこれで生じた。

 第1~4工区はこの時点では据え置いたが、分譲面積78.5haのうち、現在までに売れたのは14.2haにとどまっている。2027年度までに残る約64haを売却する計画だが、現在の経済状況を踏まえれば、見通しは極めて暗い。そこで1平方m当たり13万円から10万円以下まで引き下げる方針を固めた。これによる減収は単純計算では約193億円だが、土地すべてを売却することはあきらめ、一部に定期借地も導入予定のため減収幅が拡大するということらしい。

 この事業、下表でわかるように事業費はすべて借金で賄われており、土地の売却収入で元利償還していく仕組みだ。特別会計で運営されているため、市税や国税からなる一般会計とは一応は切り離されており、大幅赤字転落を明らかにした高島市長の会見でも公金による補填は強く否定したらしい。しかし、こども病院、青果市場に続き、新・市立体育館の建設地まで人工島が候補地として挙がっている。売れない土地を市が自分で利用するわけだから、これも形を変えた公金投入だろう。

 提案がある。人工島を推進してきた全ての市幹部・職員(退職者も含め)が自ら島内に土地を買い、家を建てたらどうだろうか。何より土地がさばけるし、こども病院人工島移転を危険という理由で反対している市民たちの中にも「移転を進める市職員自身がたくさん住んでいるのならば」と納得する人が出てくるかもしれない。「見通しが甘かった」程度の釈明で済み、役人が誰一人として結果責任を負わないのならば、同じ過ちが何度も繰り返されるだけだ。

 <追記>福岡市がその後、定期借地期間の延長などで赤字額を180億円から160億円に圧縮すると発表した。この数字に基づくと、減収幅は365億円に縮小される。


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