服役60年超の無期囚

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 先日紹介した法務省公表資料「無期刑の執行状況及び無期受刑者に係わる仮釈放の運用状況について」に驚くべき記載がある。仮釈放審理状況を示した表に、服役期間が60年10月にも上る受刑者の存在が明らかにされているのだ(下表の赤枠参照)。審理が行われたのは平成22年(2010年)のことだから、現在も存命ならば刑務所暮らしは63年に及ぶ。

 2010年時点で70歳代。従ってこの受刑者は少年の時に犯した罪で服役していることになる。表に記されている罪名は強盗致死傷と放火、被害者は3人(死者は2人以上)。この条件に当てはまる犯罪を調べてみたが、特定することはできなかった。ただ、ネット上に1947年12月に鹿児島市で起きた「雑貨商一家強盗殺傷事件」だと断定する情報があった。

 あまりに古い話なので、事件を伝える記事等も探し当てることはできなかったが、ネット上の情報では、当時17歳の少年が金目当てに雑貨商宅に押し入り、一家3人のうち2人を斧で殺害、1人に重傷を負わせ、放火して逃走したというものだ。少年には1948年、福岡高裁が死刑判決を下したが、現行少年法制定に伴う恩赦で翌49年4月、無期懲役に減刑されたという。

 犯罪事実が法務省資料と一致しているほか、犯行時の年齢や刑確定時期なども同資料から推し量られる数字と符合しており、恐らくこの情報は正しいものと思う。別のサイトの情報によると、この受刑者は現在、北九州医療刑務所(北九州市小倉南区葉山)に収容されているらしい。つまり精神を病んでいるということだ。

 60年以上も社会と隔絶された生活を送っているのだから、精神に異常を来たしても不思議はないと思うが、死刑を免れたのは彼が犯行当時少年であったため、更生を期待されたからだろう。しかし、以前は20年程度の服役で仮釈放が許可されるケースがあったというのに、彼には60年以上経ても許されなかった。「更生を果たせなかった」ということだろうか。それとも司法側は罪一等こそ減じたものの、娑婆に戻す気は最初からなかったのだろうか。

 仮釈放の審理は一度「不許可」になると、次は10年後だという。彼がその機会を得られるのは2020年、90歳を目前にしての時期となる。彼以外でも、2010年時点で仮釈放が不許可になった70歳代の受刑者が下表にはずらりと並んでいる。刑務所の老人ホーム化がよく指摘されるが、こういった資料を見ると、それが本当に理解できる。写真は法務省旧本館。


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