昭和の洋館燃える

旧聞に属する話2010-旧末永邸

 福岡市城南区にあれほど立派な洋館があるとは知らなかった。情けないことに、隣接する文化施設は訪ねたことがある。なのに初めて存在を知ったのが、全焼を伝えるニュースだったとは。目を閉じ、耳をふさいで生きていると貴重な体験の機会を失ってしまう。改めて痛感した。

 洋館とは、18日白昼に火災に見舞われた「旧末永邸」のことだ。昭和初期の建設で、終戦直後には進駐軍の宿舎としても利用されたが、ここ数十年は空き家状態だったという。一部報道によると、火災の直前、小学校高学年らしき数人が敷地から慌てて走り去ったとの目撃談があり、出火原因は火遊びが疑われている。

 所有者は、福岡大理事長の末永直行氏と紹介されているが、JR博多駅で駅弁を販売している寿軒社長という肩書きの方が通りがいいかもしれない。文化人としても著名な方であり、邸宅の隣には、末永氏が私財をなげうって建設した末永文化センターがある。訪ねたことがある文化施設とは、まさにこのセンターのことで、九州交響楽団の本拠としても知られている。火災当時は楽団員がリハーサルの最中だったという。

 この建物、焼失を伝える報道等では「昭和の名建築」とされていたが、文化財として指定、または登録を受けていた訳ではなく、形の上では「空き家の火災」でしかない。しかし、現在の痛々しい姿(上の写真は22日夕に撮影)からも、火災前の優美な姿が十分に想像できる。この建物を宿舎とした進駐軍関係者とは、司令官クラスの人物だったと聞く。彼は末永家に対し、度々この家で音楽会開催を求めたらしい。末永氏の音楽好きは、この時の体験にさかのぼるという記事を以前読んだ記憶がある。

 福岡市では最近、このブログでも紹介した福岡城跡・名島門のボヤをはじめ、妙な火災が続いている。城跡では続いて、古代の迎賓館と呼ばれる鴻臚館跡の発掘調査事務所も不審火で燃えた。貴重な史料の一部が焼失したという。福岡県警にはきちっと捜査してほしいものだが、こういった事件を主に担当していた刑事の一人が21日、改造銃の不法所持容疑で警視庁に逮捕されるというお粗末な事件が起きた。福岡県警の警官が逮捕されるのは今年に入って4人目、実に1か月に1人の計算だ。一体どうなっているのだろうか。
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