樋井川の浸水対策

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 福岡市のほぼ中央部を流れる樋井川河口付近で、河床掘削や護岸補強の工事が続いている。同市で近年目立っているゲリラ豪雨による洪水を防ぐのが目的で、川面には多数の作業船が浮かび、なかなか壮観な光景だ。

 工事を行っているのは福岡県で、2010年度から5年がかりで河口から約6km先の中流域まで工事を終える計画だという。事業費は約36億円というから、かなり大がかりなものだ。工事の直接のきっかけとなったのは、2009年7月24日に九州北部を襲った豪雨で、この時は中流域の城南区田島一帯などで172棟が床上浸水、238棟が床下浸水した。流域で1時間100ミリに迫る記録的雨量を観測、下水道からも水があふれ被害を拡大したという。コンクリートで固められ、水を貯める機能がない都市特有の洪水だったようだ。

 現在、工事が行われている河口付近ではこの時被害はなく、県作成のハザードマップ(下図)でも河口付近の浸水被害は予想されていないが、下流から徐々に遡って工事を進める計画らしい。ただ、今年が5年計画の3年目だが、私が見たところ、工事を完了したのはまだ1kmにも満たない。河口付近以外は幅が狭い川なので、恐らく今後はスピードアップするものと思うが、現実に浸水の危険にさらされている地域の住民は気が気ではないことだろう。

 樋井川の浸水を巡っては以前、妙な話を聞いたことがある。江戸時代はこの川をはさみ、右岸が城下町、左岸が郡部だったのだが、大水の際は城下町が浸水することがないよう、左岸が低い構造になっていたという。新今川橋付近から両岸を見比べてみると、確かに左岸の早良区西新側の方が右岸の中央区地行側よりも堤防が高く、その分地盤は低いのではないかと思える(下写真)。

 樋井川の氾濫は、この黒田藩の治水策も何らかの影響を及ぼしているのではないかと疑ったが、ハザードマップを見る限り、浸水想定区域は主に中流域の両岸に広がっており、見当違いだった。浸水想定区域は、川が大きく蛇行する中央区草香江付近に大きく広がっている。蛇行の理由は、黒田藩が城下町を建設した際、川を防衛線とするため流路を人為的に変えたためだ。


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