七隈線延伸



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 福岡市営地下鉄七隈線の延伸がいよいよ動き始める。現在の終点・天神南からキャナルシティ博多近くを経由してJR博多駅に接続する1.4km(営業距離は1.6km)。空港線との接続が悪いうえ、駅間距離が短すぎるなど色々と使い勝手が悪く、毎年数十億円の赤字を出しているお荷物路線だが、市はこの延伸により利便性が向上、将来は黒字転換できるものと期待している。

 それにしても地図(市の発表資料から)を見ると、七隈線の延伸区間は、空港線と瓜二つのルートで博多駅に至るのがよくわかる。両線の距離はせいぜい数百m。競合路線を市が自分で造るようなものだ。この延伸により七隈線の利便性が向上するのは確かだろうが、費用は450億円にも上る。内訳は国からの補助110億円、市の一般会計からの投入額200億円、起債が140億円だ。

 巨額の金を投じることに批判的な市議や市民からは「天神地下街の空港線天神駅~七隈線天神南駅間に動く歩道を造れば、乗り換えが楽になる」という提案があったが、市は一顧だにすることなく退けた。理由は<1>地下街の通路は緊急時の避難経路でもあり、動く歩道を建設すれば、建築基準法で定められた必要な通路幅が確保できなくなる<2>動く歩道の駆動部を設置するためには1m程掘り下げなければならないが、地下街の下には駐車場があり困難――という理由だったようだ。

 もっとも二つの問題がクリアされても、市が動く歩道を採用する可能性は低いと思う。動く歩道利用者が増えれば、地下街の店の客は減る。天神地下街を運営しているのは第3セクター福岡地下街開発で、同社最大の株主は株式の48.8%を握る市だ。いわば市は地下街の大家も同然。自らの首を絞めるようなまねをするわけがないのだ。

 延伸によって1日当たりの乗客はどの程度増えるのか。市の発表資料を見てもよくわからないのだが、延伸区間の乗客は1日6万8000人(うち、2万1000人が新規利用客)と見込んでいるようだ。開業時の乗客を1日11万人と予測しながら、実際は4万4000人(現在は6万人台)だったという“前科”があるだけに、今回の予測にも疑いの目が向けられているが、根拠薄弱ながらも私は案外いい線いくのではないかと思っている。

 現在の七隈線は「福岡市西南部の渋滞対策」を大義名分に、造ることだけが目的だった。乗客予測など付け足しみたいなものだ。だが、今回の延伸区間は造ることによって乗客を増やす、ひいては赤字を解消するのを目的としている。福岡市役所のお役人方も今回ばかりは失敗できないことをさすがにわかっているだろう。市議会で「今回は大丈夫か」とただされた市は「精度の高い手法で行った」と答え、その手法で開業時の乗客予測をやり直したら「現状とピタリ一致した」と胸を張ったという。笑い話かと思った。

 七隈線延伸は2013年度にも着工、完成予定は20年の見込みだが、前倒しも検討されているらしい。
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