ヒゴタイ

旧聞に属する話2010-ヒゴタイ1

旧聞に属する話2010-ヒゴタイ2

 写真は2年前の夏、大分県九重町のくじゅう・長者原のタデ原湿原で撮影したヒゴタイだ。普段花には全く関心がないが、数年前、この花を初めて目にした時は少し驚いた。写真でもわかるように、ゴルフボールのようなまん丸の花で、しかも鮮やかなるり色だ。美しさとともに、珍しい姿かたちにひかれ、以来、この花を見に長者原に行くのが夏の恒例行事になった。

 最初に目にした時、花の素性を調べるため、長者原のビジターセンターで『九重に咲く花』(不知火書房刊)を買い求めた。著者は、九重の自然を守る会理事の上野哲郎氏。同書にはヒゴタイについて「日当たりのよい乾いた草原に見られる多年草」とある。はて自分が見たのは湿原だったはずと首をひねり、改めて確かめると、すべて湿原の周囲の乾いた場所に生えていた。

 同書には、日本列島が大陸と地続きだった氷河時代の残存植物とも紹介されている。昔は九州各地で当たり前に見られたらしいが、乱獲で数を減らし、現在は絶滅危惧種に指定されている。ただ、長者原に限れば、前年まで見られなかった場所でヒゴタイに出会うことがある。自生地が広がっているのであれば、うれしいのだが。

 昨年の夏は、なぜか長者原に行く機会がなく、何となく物足りなく思っていたところ、近くの花屋でヒゴタイが売られているのを見かけた。もちろんどこかで栽培されたものだろうが、花の色がえらく薄く、るり色というより灰色のようで、あまり魅力を感じなかった。しばらく売れ残っていたようにも思う。「やはり野に置けレンゲソウ」という言葉を思い出した。




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