ごね得

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 こういうのを「ごね得」と言うのだろうか。福岡市が、中学校に放火した少年3人とその親に3400万円の損害賠償を求める訴訟を起こしていたが、半額の1700万円で和解する方向になった。この親たちは最初から賠償する気などまったくなく、市はやむなく裁判ざたにしたが、それでも拒否を続けた。裁判所は和解を勧告、市も「まったく賠償金を得られないよりは」と半額で手を打った。

 放火事件が起きたのは2008年5月16日未明。卒業生を含む当時16~17歳の少年3人が南区の中学校に侵入、職員室に盗んだガソリンをまいて火を付け、職員室のほか校長室、事務室などを焼いた(写真は全焼した職員室。市の発表資料から)。復旧には約6700万円がかかったが、うち半額は保険が支払われた。残る実費分の支払いを、少年たちと「監督義務を怠った」親たちに求めたわけだが、親たちは裁判の中で「監督義務はちゃんと果たしていた」と強弁していたようだ。

 議会の承認を得られれば、市は7月早々にも正式に和解する予定らしい。「全額支払わせるべきだ」と正論を述べる硬骨漢の市議でもいれば別だが、視察として称して観光旅行に行ったり、ウィキペディアを丸写しした視察報告を提出したりするような輩しかいない議会だ。市の提案は100%ノーチェックで通ることだろう。

 和解案によると、1世帯当たりの賠償額は600万円弱。我々庶民にとっては大変な金額だが、「親と子がまじめに働きさえすれば」数年もあれば返済可能な額でもあるだろう。残りの1700万円は税金が充てられる。まったく無関係の市民が犯罪者の尻拭いをするわけだ。福岡という街ではこんなことは珍しくもない。

 <追記>「親と子がまじめに働きさえすれば」数年もあれば返済可能な額でもあるだろう――と書いたが、とんでもない認識違いだった。和解案の概要が明らかになったが、それによると、放火少年側が月々に支払う金額は2~3万円。600万円の賠償を求められ、月々2万円の支払いで手を打った少年の完済予定は、なんと26年後の2038年である。まるで戸建て住宅並みの長期ローンである。福岡市とは、一部の人々にとってはずいぶん話の分かるお役所であるようだ。
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