福岡城天守復元!?

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 福岡市の高島市長が16日の記者会見で「福岡城天守閣を復元したい」とぶち上げたという。新聞報道で知り、不快な気分だった。同様の主張をしている民間団体もあるが、バカげた運動だと思っている。理由は単純。福岡城天守については存否さえはっきりしていない。当然、絵図面などの資料も残っていないのだから「復元」は絶対に不可能。仮に想像で天守を建設するとしたら、それは偽物の城でしかないからだ(「福岡城に模擬天守はいらない」参照)。

 この日の会見で市長が発表したのは、2014年度から進める福岡城跡の整備計画。計画の中心は、解体保管している潮見櫓、花見櫓や、古写真が残る松の木御門の復元などが中心のようであり、天守の復元についてはあくまでも「個人的な願望」と断ってはいる。だが、この人は個人的願望に基づき独断で物事を進めるきらいがある。良い例が、大量の中国人公務員を研修で受け入れるという計画だろう。全国から激烈な反対意見がメールなどで寄せられているらしいが、テレビなどで見る限りではあまりこたえている様子もない。

 新聞記事だけに基づいて批判するわけにもいかないので、市が公開している記者会見の映像を見てみた。結論から言えば「現段階で復元は不可能」であることを市長自身も理解はしているようだ。福岡城跡は国史跡であり、建物を復元する場合、絵図面や古写真などきちんとした資料に基づいて行うべきことを文化庁は求めている。昭和30~40年代の城ブームの時とは違い、史実に基づかない模擬天守建築など現在ではあり得ないのだ。

 では、なぜ市長はあえて個人的願望を語ったのだろうか。記者からの質問に正直に答えただけかもしれないが、会見からは、市長が福岡城跡の整備を進めるのは観光地作りが第一の目的であり、そのためには「お城の形がはっきりわかるように」と考えていることがわかる。外国人観光客に「ジャパニーズキャッスルすごいだろ!」(会見での市長発言。本当にこう言った)と自慢できる姿に整備を進めたいようなのだ。単純極まる話だが、そのためにはシンボル的な建築物である天守が欲しいと考えたのだろう。

 福岡市にさしたる観光地がなく、九州を訪れる観光客がこの街を素通りしている現状に、市長や経済界が憂慮していることは良くわかる。その中で、数少ない候補地である福岡城跡に着目することは予想はしていた(「多聞櫓が景観賞に」参照)。しかし、いくら観光振興のためとは言え、市長ともあろう人がまさか何の物証もない天守復元を言い出そうとは予想できなかった。

 この人の市政運営は、屋台存続や大量の中国人公務員研修受け入れ計画によく表れているが、短絡的に金を稼ぐことしか考えていないように思える。しかも、どの政策もマイナス面には目をつむっていることが共通している。仮に外国人観光客が喜んだところで、今の時代に模擬天守を造るなど「恥」でしかないことを理解して欲しいものだが…。

 写真は、福岡城の天守台の石垣。
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