カネボウプール


 福岡市博多区住吉の商業施設キャナルシティ博多がある場所には以前、カネボウプールがあった。さらに以前には鐘紡工場があり、昭和30年ごろの福岡市の地図を見ると、住所も住吉ではなく「鐘紡前町」となっている。沿革を調べてみると、工場が閉鎖されたのは1959年(昭和34年)。プールはこの2年後にオープンしているようだ。

 夏は泳ぐのが定番だった昭和時代、このカネボウプールや現在の中央区薬院にあった県営プール、各地の海水浴場はどこもとんでもない人出でにぎわっていた。私が足繁く通っていたのは料金が格段に安く、自宅からも比較的近かった県営プールの方だが、カネボウプールにも何度か行ったことがある。県営プールに比べれば、ずいぶん垢抜けた雰囲気で、ここの自販機で初めて買って飲んだカネボウのベルミーコーヒーも都会的な飲み物だと勘違いした程だ。後に知り合った山口出身の友人によると、「ベルミーの自販機があるのは田舎ばかり」だったらしいが。

 ところで、このカネボウプール、いつまで営業していたのか。まったく記憶がなかったので調べてみたのだが、ネット上には意外に情報がなく、辛うじて探し当てた地元・西日本新聞の記事にも「昭和46年(1971年)ごろに営業していた」とアバウトな記述があるだけだった。

 私自身は1975年(昭和50年)の夏に何度か行った記憶があるので、この年まで存続していたのは間違いない。76年以降はここで泳いだ記憶がないが、プールで泳ぐような年頃を過ぎてしまってもいた。一方、キャナルシティを開発した地元デベロッパー・福岡地所は77年に跡地の一部を取得しているらしい。75~77年のどこかで閉鎖されたということだろう。ひょっとしたら、私が最後に泳いだのは“カネボウプール最後の夏”だったのだろうか。

 ちなみに薬院の県営プールの方は88年に閉鎖されている。さすがに県営だけあって、こちらは簡単に調べがついた。

 【追記】1977年、78年の住宅地図で確認したところ、77年版ではカネボウ福岡ボウリングセンター、福岡ゴルフセンターが健在で、その隣接地にカネボウプールと考えられる楕円形の構造物が記載されていた。しかし、施設名の表記はなく、恐らくこの時点ではすでに営業を休止していたと思われる。地図の発行日が77年9月1日という点を踏まえると、少なくともこの年の夏以前にカネボウプールは閉鎖されていたのだろう。78年版では施設自体も取り壊され、跡地は玉屋大駐車場となっている。そう言えば、この土地は長い間、野外駐車場だった。
関連記事
スポンサーサイト
[Edit]