セアカゴケグモ対策

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 福岡市でのセアカゴケグモの駆除数が9、10月の2か月間で4639匹に上ったと市が公表した。大半は同市東区の人工島(写真)や香椎浜、隣接する千早、名島地区などでの発見だが、10月には初めて中央区、早良区でも確認されている。市の発表資料には「個体数が少ない等から、何らかの要因で運ばれたセアカゴケグモが、スポット的に発見されたものと推察される」とあり、危機感は薄いようだが、この毒グモが日本で初めて見つかった大阪府では、相当のスピードで生息域を広げていった。のんきに構えていると、他自治体の恨みを買うことになるかもしれない。現に古賀市ではすでに生息が確認されている。

 セアカゴケグモはオーストラリア原産で、福岡市で初めて見つかったのは2007年10月、場所は人工島のコンテナターミナルだった。島内にある中央公園で、市は今年9月までの4年間で計8200匹を駆除しており、人工島が一大生息地となっているのは間違いない。ところが、その事実を市は隠していた。「市民に不安を与えたくなかった」という理由らしいが、市民の安全を考えるならば、大阪府のように「庭いじりなどの際は気を付けて」などと積極的に注意を促すべきだった。ただでさえ土地が売れない人工島の商品価値を下げたくなかったのだろう、と疑われても仕方がない。

 大阪府の場合、府南部にある高石市の港で1995年11月に初めて見つかり、その後、南部沿岸部でベルト状に生息域を拡大していった。昨年5月には、セアカゴケグモの空白地帯だった北端の能勢町でも見つかり、ついに府下全43市町村すべてに広がった。一部研究者がクモが多数確認されていた地域の駐車場で調べたところ、少なくない車にクモが付着していたという。人間の移動に従って生息域を広げていったのは確実だろう。また、本来は寒さが苦手のクモだが、側溝の蓋の裏や空き缶の中などで越冬しているらしい。スポット的な発見であっても、甘く見ることができないのは明らかだ。

 人工島では9月、クモにかまれた女性が病院に運ばれる事件が起き、これを受けて市は11月にセアカゴケグモ対策の行動計画をまとめている。市民への積極的な啓発活動、生息域拡大防止のための生態調査や駆除方法の研究などが柱だが、正直、後手に回ったという感じは否めない。

 すでに大阪という先行事例があったのだ。生態調査についても大阪府立公衆衛生研究所がかなり詳細に行っており、これを参考に、人工島で初めて見つかった2007年の時点で取り組むべき事柄だったのではないだろうか。むしろ、大阪が生息域拡大を阻止できなかったことから、「福岡でも無理だ」と早くから対策を諦めていた節もある。もちろん、対策が後手に回った責めは前市長が負うべきだろうが。


 <2013年1月24日追記>中央区舞鶴公園(福岡城址)で21日、自販機にいたクモに男性がかまれ、入院する事件が起きた。男性の証言によると、クモにはセアカゴケグモのような赤い模様があったという。これを受けて福岡市は公園内の探索を行ったが、クモは見つからなかったらしい。しかし、膨大な数の石垣が残る公園である。石垣のすき間に隠れたクモを簡単に発見できるものだろうか。クモがセアカゴケグモだったとしたら、活動が活発になる春は要注意だろう。
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