『軍師官兵衛』効果は

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 「NHK大河ドラマ『黒田官兵衛』を誘致する会」という団体がある。来年の大河ドラマが『軍師官兵衛』に決まり、念願かなった会の関係者はさぞかし喜んでいることだろう。この会の参与には高島宗一郎・福岡市長が一応名を連ねてはいるが、福岡の団体ではない。会長は石見利勝・姫路市長。副会長や委員にも同市関係者がずらり並んでいる。姫路は官兵衛(如水)が生まれた地で、同市では以前から「この魅力的な人物をぜひ大河ドラマに」と訴え続けてきたのだ。

 姫路市の公式サイトなどによると、誘致する会が発足したのは2008年11月13日。翌2009年1月には早速、NHK会長に面会し要望書を手渡している。当時のNHK会長は、たまたま北九州市戸畑区(戸畑区の大半は旧筑前領内)出身の福地茂雄氏で、「私は福岡人ですから」と如水への愛着を披歴し、会側は好感触を得たらしい。実際、NHK関係者から「黒田如水は大河ドラマの候補に入っている」と明かされたという。これに力を得た会は以降、毎年要望活動を行ってきた。

 熱心な誘致活動は、言うまでもなく巨大な経済波及効果に期待してのようだ。例えば、2010年放送の『龍馬伝』が高知県にもたらした波及効果は、日銀高知支店の試算によると、最終的に535億円にも上ったという。先頃放送が始まった『八重の桜』の場合、日銀福島支店は福島県内への効果を113億円、観光PRが功を奏して観光客が震災前の水準にまで回復すれば、その額は650億円にまで拡大すると見込んでいる。

 姫路市では現在、国宝姫路城の大修理が行われている。美しい大天守は工事用の建屋ですっぽり覆われており、大幅な観光客減が心配されている。大河効果でこれを最小限にとどめ、化粧直しを終えた大天守が姿を現す2015年春以降の飛躍につなげるという狙いが姫路市にはあったようだ。

 こうしてみると、2014年の『軍師官兵衛』放送は、同市の目論見通りに動いたことがわかる。自治体側の熱意次第で大河誘致は可能ということだろうか。我が福岡も歴史ファンの間で人気が高い立花宗茂を候補に、本気で誘致活動に取り組んではどうだろう。

 福岡市も『軍師官兵衛』効果に期待はしているようだが、ドラマの脚本次第とは言え、晩年を過ごした地の福岡が果たしてどれだけ取り上げられるだろうか。一貫してNHKに熱意を見せてきた如水生誕の地の姫路には、波及効果の面でも到底かなわないことだろう。写真は黒田家の菩提寺・崇福寺(福岡市博多区千代)にある如水の墓所。
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