ヒヨドリの分派

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 福岡市中央区地行浜を散歩していたら、ヒヨドリの群れが「ヒーヨ、ヒーヨ」と大声で鳴いているのに出くわした。以前、我が家のベランダに飛行訓練中のヒナがやって来たことがある(「ベランダにヒナ鳥」)。野鳥にはほとんど興味がなかったが、この時に素性を調べて以来、ヒヨドリは何とか識別できるようになった。羽毛が逆立った頭と茶色い頬を目印にしている。

 福岡では一年中見かけることができる留鳥だが、以前は越冬のために北から渡ってくる冬鳥として扱われていたという。ところが、渡りをやめて都会に住み着くヒヨドリが出てきた。福岡だけでなく、仙台以南の各都市で1960年代後半頃から起きている現象らしい。詳しい理由は不明のようだが、公園や街路に実のなる木々が大量に植えられ、餌に困らなくなったためという説がある。

 ただ、紛らわしいことに、依然として渡りを続ける一派もいる。関門海峡では毎年秋口になると、九州に渡ってくる大群が見られるそうで、冬のこの時期の福岡にはヒヨドリの「定住派」と「渡り派」とが混在している。当然、生息数も普段より多いはずだ。ヒヨドリによる農作物被害が集中するのは冬場だが、これはクロガネモチなど実のなる都会の木々は「定住派」が縄張りとしており、「渡り派」はやむなく農村部に回るためだという。これが正しいのならば、両派は共存ではなく、競争関係にあることになる。

 ところで、図書館でヒヨドリ関係の書籍を物色していたら、『生物いまどき進化論―都市化がもたらす人工サバイバル』(藤本和典、技術評論社、2009)という本に興味深い記述があった。韓国でソウル五輪前、ネズミを駆除するため殺鼠剤をまいたところ、狙い通りネズミは駆除されたが、ネズミの死骸を食べたカラスも死滅した。するとカササギが都市に住み着き、ゴミ箱を漁りだしたというのだ。著者は、仮に日本で同様の状況が起きたら、都市での食べ物に目覚しい適応力を見せるヒヨドリが「カラスに取って代わる可能性がある」と主張している。

 地味な色調ながらも愛らしい姿のヒヨドリが、まさかゴミ箱を漁るようになるとは想像できないが、バードウォッチャーの間では「図々しい鳥」として昔から嫌われ者だったそうだ。下の写真は、地行浜で見かけた他の“鳥”。後ろ姿が異様にたくましく、味わい深い。


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