服部純也の投稿


 三島女子短大生焼殺事件の犯人で、昨年8月に東京拘置所(写真)で死刑が執行された服部純也・元死刑囚(執行時40歳)の文章を読む機会があった。死刑囚仲間で作る「ユニテ」という会の機関誌『希望』第65号に掲載されていたもので、中身はいわゆる近況報告。機関誌発行は2011年9月と記されており、刑執行の約1年前に書かれたことになる。自身に死刑判決が下ったことに対する憤懣を強烈に表現した一文で、“反省したふり”が必要なくなった服部の本音が見え、興味深い。

 服部の投稿は「かなり参っています」というタイトル。ストレスがたまり体調が優れないこと、再審請求書の作成が進まないこと、千葉景子元法相による死刑執行に非常な衝撃を受けたことなどをつづったうえで、「それにしても、無期懲役と死刑のボーダーラインもどこにあるのか判らない程滅茶苦茶であり、その点、検察側もデタラメなら裁判官も似たようなものです」と憤っている。「思う様に事が進まない苛々も日々積もり、その発散方法が見つからず、我慢ばかりでは疲れてしまいます」と被害者気取りで境遇を嘆いてもいる。

 服部が犯した三島女子短大生焼殺事件とは、静岡県三島市で2002年1月、路上でたまたま見かけた自転車の女子短大生(当時19歳)を車に押し込み暴行、さらに粘着テープで手足を縛り灯油をかけて焼き殺したという事件だ。

 1審・静岡地裁沼津支部は04年1月、死刑の求刑に対し無期懲役の判決を下している。服部が“反省を示している”ことや計画的犯行でなかったことなどを酌量しての判断だったが、検察側だけでなく、服部側も量刑を不服として控訴した。翌年3月、東京高裁は「残虐、非情な犯行」と一転して死刑判決を下し、最高裁でも覆らなかった。「少しでも刑が短くなれば」(控訴審の被告人質問での服部の発言)と控訴したことが裁判官の心証を悪くしたように思える。

 ところで、「ユニテ」なる会は、山中湖連続殺人事件の猪熊武夫死刑囚が中心になって作ったようだ。機関誌発行は、もちろん死刑囚自身が拘置所内で行っているわけではなく、投稿文を弁護士らに渡し、これを外部の協力者が編集しているらしい。

 猪熊による再審請求についての実戦解説みたいなものが中心だが、詩・短歌・川柳、イラストなどもあり、常連投稿者にはオウムの新実智光、愛知県交際2女性絞殺事件の兼岩幸男らがいる。福岡拘置所からは男女強殺事件の倉吉政隆が過去に投稿しているが、拘置所内での物品販売があこぎだと告発する内容もあり、結構面白かった。物品販売問題については一度調べてみたい。

 【山中湖連続殺人】1984年10月、元警視庁警部の沢地和夫・元死刑囚と猪熊らが宝石商や金融業者を相次いで殺害して現金や宝石など8000万円を奪い、2人の遺体を山中湖畔の別荘床下に埋めた。沢地は警視庁退職後に始めた割烹店経営に失敗、多額の借金を負ったため、同様に金に困っていた猪熊らを誘って事件を起こした。沢地は2008年12月16日、胃癌による多臓器不全のため東京拘置所で死亡。69歳。
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