早稲田佐賀中高

旧聞に属する話2010-早稲田佐賀

 佐賀県唐津市にある唐津城の真下に今春、早稲田佐賀中・高校が開校した。あの早実と同じく、早稲田大学の系属校であり、高校定員(当面は1学年120人、最終的には240人)の半分が同大学へ推薦入学できる。なぜ、早稲田の系属校が佐賀の片田舎に?と疑問に思う人が万が一いるかも知れないので、一応書いておくと、早稲田の創立者・大隈重信は佐賀出身である。ちなみに慶応の福沢諭吉は大分・中津の出。東京の人は忘れがちだが。

 ただ、この学校の開校に当たり、「なぜ、唐津に?」という疑問の声は佐賀県内でもあったようだ。細かいようだが、大隈重信は佐賀藩出身。唐津は、言うまでもなく唐津藩が治めていた。「どうして大隈の出身地の佐賀に学校をつくらないのか」というわけだ。

 今にして思えば、場所を唐津に選んだ裏には、深謀遠慮があったように思う。学校の開校費用のうち、約30億円を寄付で賄う計画だったと聞くが、このご時世だから遅々として集まらなかった。ところが、九州電力がポンと20億円を寄付したことで、開校計画は一気に進んだ。九電にとって、一団体への寄付としては過去最高額であり、私立学校へ寄付すること自体も初めてだったらしい。

 九電は、唐津市の隣町の玄海町で玄海原子力発電所を運営しており、ここでは昨年12月から、国内初のプルサーマル発電を行っている。20億円もの巨額寄付が、原発に絡む地域対策であったことは九電自身も認めているところであり、この点を考慮すれば、唐津以外の選択は最初からなかったのではないか。発起人会代表として早稲田佐賀の開校に奔走していたのは、NHK会長時代、辣腕をうたわれた海老沢勝二氏である。

 ところで、この学校には今春、中高合わせて252人の第1期生が入学したが、最も多かったのは隣県の福岡から。超難関の早大学院や早実よりも難易度はずいぶん低いと予想されたため、「早稲田大に入るには、かえって近道」と首都圏からの受験生も少なからずいたと聞く。入学者の出身地は、18都県にも上るといい、地元からの入学者は必ずしも多くはないようだ。学校の開校は、経済的にも、知名度向上という面でも唐津にプラスになったのは確かだろうが、佐賀の青少年の教育には、果たしてどの程度貢献できるだろうか。
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