遺骨処分し損害賠償

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 病死した生活保護受給者(男性)の遺骨を福岡市が勝手に処分したため、遺族の長男に100万円の損害賠償金を支払うというニュースが14、15日の各紙朝刊に相次いで掲載されていた。市は20日開会の市議会に、賠償金支払いを議案として提案するという。

 受給者が病死したのは2011年6月のことで、市は遺族に連絡を取ろうとしたが、長男とは連絡が取れない状態だった(毎日新聞によると、刑務所に入っていたようだ)。他の親族からは葬儀や遺骨引き取りを拒否されたため、市はやむなく業者に依頼して火葬した後、遺骨を破棄した。長男は事が終わった後に姿を現し、「自分で供養することができず、精神的苦痛を受けた」と賠償を求めてきたという。

 賠償を巡って約2年間も話し合いが続いていたことになり、長男なる人物のタフネゴシエーターぶりが想像されるが、実はこの賠償金支払いの議案を市は昨年12月議会にいったん提案しようとし、結局取り下げた経緯がある。議案が欠番になっていることに気付いた議員の一人が理由を質したところ、市は賠償請求されていることを明かしたうえで、「精神的苦痛に対する賠償額の決定が困難で、顧問弁護士と協議して議案提案を見送ることにした」と答えている。

 市議会の議事録にはこれ以上の経緯は書かれていないので、以下は私のまったくの想像になるが、議案が欠番になっていたぐらいだから、土壇場での議案取り下げだった可能性が高い。ひょっとしたら取り下げられた議案にはもっと高い賠償額が書かれていたのではないだろうか。根拠は何もないが、議会や市民の理解を得られにくい金額と判断したからこそ急きょ取り下げたと考えると、滅多にあり得ないという議案欠番が起きたことに納得がいく。

 今回の100万円については、寺が遺骨を紛失した際の訴訟を参考に決定したと一部新聞にあった。これは恐らく2010年3月11日に高知地裁で出された判決のことだろう。遺骨を埋葬することなく紛失した寺の住職に対し、女性2人が計4480万円の賠償を求め、地裁は住職の過失を認め計760万円の慰謝料支払いを命じている。2人の女性はそれぞれ159万円、83万円の墓所代等を支払っていたうえ、遺骨が埋葬されているものと信じて供養を続けていた。「精神的苦痛」に対する賠償はこれほどひどいケースでも2人合わせて760万円にとどまる。

 これに比べれば、福岡市の場合はケアレスミスとも言え、これが今回の交渉での落としどころになったのではないだろうか。長男に代わって男性を生活保護で扶養し、弔ったのは市であり、その費用には市民の血税が充てられているのだ。遺骨処分の非は市にあるとは言え、賠償額には自ずと限度があるだろう。

 以上、長々と書いてきたが、途中で断ったように私の想像に過ぎない。議案の提案を受ける市議会はシャンシャンと賛成するだけでなく、血税を賠償金として簡単に費消する福岡市の脇の甘さを追及するとともに、賠償交渉の真相についても明らかにするよう市側に迫ってほしいものだ。写真は福岡市役所。
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