山笠のあるけん博多…なのか?

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 博多祇園山笠が始まると、福岡では決まって「山笠のあるけん博多たい」という言葉が飛び交うようになる。今さらの話だが、この言葉は「博多山笠」という博多銘菓のCMで使われていたものだ。製造販売していたのは福岡市にあった菓子メーカーお菓子の欧州。私の記憶する限りでは、CMの放映が始まったのは30年近く前のことで、このCMのお陰もあってか「博多山笠」は一時、博多土産の定番のひとつとしてビジネスマンらに人気だったらしい。

 ところが、不思議なことに、この菓子を食べたことがある地元民に私は出会ったことがない。多くの人がCMの内容は強烈に覚えているのに、CMのフレーズにあった“粒あんをフレッシュバターでくるんだ粋な味”がどういうものか想像がつかないという。土産品として販売されている銘菓を地元の人は案外食べていないもので、これは土産品の宿命なのだろう。私の周囲の福岡人の中には、現在の博多土産の定番、明月堂の傑作饅頭「博多通りもん」を食べたことがない人がまれにいる。

 私は学生時代、この「博多山笠」が大好物だった。正体は粒あん入りの四角いバターケーキで、牛乳を飲みながら食べると、ことのほか美味しかった。一個一個がアルミホイルで丁寧に包装されており、慎重にむかないとケーキがホイルにべったり付き、指ですくって食べる羽目になったが。下宿近くの酒屋兼食料品店で、なぜかこの菓子が売られており、バイト代や仕送りが入って懐がいくらか豊かな時に良く買ったものだ。値段は正確には覚えていないが、1箱1000円程度で、中身は結構ぎっしり入っていたと思う。

 お菓子の欧州は、「博多山笠」に続く商品開発が進まず、1995年9月に9億円の負債を抱えて自己破産した。一世を風靡したCMとともに、銘菓「博多山笠」の歴史も終わったとばかり思っていたが、同じ福岡市にあった菓子メーカー第一経営が商標や工場などを買収、旧博多駅のデイトスにあった第一経営店舗で「博多山笠」の販売は細々とながら続いていたという。

 その第一経営も急速な経営規模拡大などがたたり2009年3月に経営破綻。「博多山笠」は今度こそ幻の菓子になってしまった。私にとっては正真正銘の銘菓だったが、二つの会社の苦況を救えなかったのだから、時代にあった商品ではなかったのかも知れない。粒あんが入ったバターケーキなど(他にあるかどうかは別にして)何の変哲もない菓子だと言われれば、確かにその通りなのだろう。「博多山笠」の名前を巡り、お菓子の欧州と他の菓子メーカーが争った経緯もあるだけに、商標の行方は気になるところだ。

 写真は、このブログ恒例のヤフオクドーム前の飾り山笠。例によって人形を見ただけではモデルの選手が誰なのかわからないが、アンダーシャツの襟元に記された背番号で判断すると、打者は内川、投手は大隣のようである。大隣は難病で戦線離脱したが、無事に復帰してくれることを切に願っている。
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