夢の城


 東京ディズニーランドが今年30周年を迎えたらしい。何の関心もなかったテーマパークだが、20年ぐらい前、たまたま近くに住んでいたため家族にせがまれ何度か行ったことがある。金は掛かるが、その分は楽しませてくれる施設だと考えを改めた。かと言って、何をするにも長い行列に並ばねばならないような場所に好んで行きたくはない。私の性格を理解している家族は、私の帰宅が遅いとわかっている時に出かけては夜のパレードを楽しんでいたようだ。

 話は大きく変わるが、親族の一人(以下、Tと表記)が高校生時代、脳腫瘍で長く入院していたことがある。幸い良性だったため無事に退院し、Tは現在、立派な社会人になっている。同じ病棟に入院していたのはT以外は幼児や小中学生たちで、Tが同室になったのは小学校入学前の女の子だった。この子は間もなく退院していったが、Tの母親は慌ただしい退院が何となくふに落ちなかったという。

 数年後、T母は女の子の母親と偶然に街で再会し、「T君は元気?」と尋ねられた。東京で元気に大学生活を送っていると答えると、女の子の母親は大変喜んでくれ、そして、号泣しだした。

 T母の予感通り、女の子の退院はもはや手遅れと医師に告げられ、「せめて家族で最後の思い出を」と決意したためだった。退院後、一家は女の子が以前から行きたがっていた東京ディズニーランドに向かい、楽しいひとときを過ごした。帰郷からしばらく後、女の子は旅立っていったという。二人の母親は街の真ん中で、人目をはばかることなくしばらく泣き続けていたらしい。

 この話を聞いて、かのテーマパークに対する認識を私は再度改めた。写真は、東京に住んでいた家族が比較的最近撮影したものを使った。
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