総合図書館のVHSビデオ


 福岡市総合図書館のビデオライブラリーを見ていて残念に思う時がある。国内外の名作映画やドキュメンタリーなどを中心に約7500点の映像ソフトがあるらしいが、大半がVHSビデオなのだ。我が家のVHSビデオデッキはずいぶん昔にお役御免にした。機器自体は破棄せず保管はしているが、取り出しづらい納戸の奥深くにある。街のレンタル店には置いていないような作品がライブラリーにはあり、見てみたいと思う時があるが、デッキが上記のような事情のため、結局二の足を踏んでしまう。

 総合図書館が公表している数字によると、DVD、VHSビデオを合わせた映像ソフトの年間貸出数は2011年度の実績で約3万3000点。図書館の開館日は年間約290日なので、1日平均では約114点となる。映像ソフトは1人1点しか借りることはできないので、要するに1日当たり114人ほどが利用している計算だ。

 内訳までは示されていないので、このうち何人がVHSビデオを借りたかはわからないが、DVDの品ぞろえの悪さを考えれば、意外に多い数字だと思った。ただ、減少傾向にはあるらしい。やはりVHSビデオデッキを所有する家庭が年々減ってきているためだろう。

 昨年7月に学識者らかなる懇話会によって出された「これからの図書館のあり方について」の意見書でも、映像ソフトについて<現在貸出を行っている映像資料、音響資料が各家庭で利用困難になっており、また、媒体の変化が著しく先行が不透明な状況であり>と指摘し、総合図書館に対し、今後も映像ソフト貸し出しを続けていくのか検討するように要請している。

 取りあえず現状ではブルーレイディスクが主流のようなので、映像ソフトをすべてこれに切り替えるのが一案とも思えるが、図書館が購入する映像ソフトは市販品に比べて相当高いらしい。一般に貸し出しできるように、著作権法に基づき相当額の補償金が上乗せされているためで、中でも補償金が高いとされる日本映画の場合、1点当たりの価格は3万円前後になるとの話もある。この数字が事実だとすれば、邦画が仮に1000点あった場合、買い替え費用は3000万円に上ることになる。これでは市民や議会の理解は得られないだろう。

 公立図書館で映像ソフトが貸し出せるようになったのは1984年の著作権法改正から。1988年に洋画に関して先の補償金問題が決着、さらに92年には邦画についても折り合いが付き、実際にはこの頃から映画ビデオの充実を図る図書館が増え始めたという。各公立図書館がネット上でも公表している「収集方針」をいくつか読んだ限りでは、多くの図書館が今後も映像ソフトの収集・貸し出しを継続する方針だが、VHSビデオの切り替えに関しては一様に苦慮しているようだ。あれこれ考えると、佐賀県武雄市が打った市立図書館のTSUTAYA運営委託という一手は奇手ではあるが、妙手でもあった気がする。
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