無期寸前だった2人の22歳


 今年7月、北九州市八幡東区で、市道を歩いていた女性を背後から猛スピードの軽自動車ではね、バッグを強奪するという非道極まりない事件が起きた。この事件の容疑者として同市内に住む橋本涼太、竹下孝幸という22歳の男2人が逮捕されたが、同じような凶悪犯罪を繰り返していたらしく、今月14日にも別の強盗致傷事件で再逮捕されていた。強盗致傷事件の量刑は懲役6年以上だが、余罪は他にも多数あるとみられ、どんなに軽くとも懲役10年以上の判決は下ることだろう。

 車ではねての強盗事件など福岡特有の犯罪のようだが、同種の事件は他県でも過去に起きており、中には被害者が亡くなられた例さえある。2003年11月にJR千葉駅近くで起きた事件は、暴力団員ら2人組が男性を車ではね、バッグを強奪したというもので、八幡東と全く同じ手口だ。ただ一つの違いは被害者の男性は転倒した際に頭を強く打ち、間もなく亡くなっている。

 2000年に静岡県富士市で起きた事件は少し事情が違うが、やはり被害者の女性が命を落とされている。神奈川、静岡県内で車を使ってひったくりを繰り返していた3人組がすれ違いざまにバッグをひったくった際、女性が転倒、犯人グループの車の後輪にひかれ、死亡したのだ。

 この二つの事件、計5人の男たちは強盗致死罪で裁かれ、いずれも無期懲役の判決が下っている。富士事件の3人組のうち2人は最高裁まで争ったが、一審判決は覆らなかった。強盗致死の量刑は死刑、または無期懲役だが、亡くなった被害者が1人であるため、両事件のケースとも死刑判決は考えにくい。無期懲役はこのケースでの最高刑と言って良いだろう。つまり罪を軽くしようと「殺すつもりはなかった」などと弁明したところで、この手の凶悪犯罪には必ず厳罰が下るということだ。

 八幡東事件では被害者の女性は右足骨折の重傷を負ったものの、幸いにも命に別条はなかった。これは軽自動車が猛スピードだったことを考えれば、奇跡的なことだ。千葉事件では犯人の車は時速40kmと比較的低速だったが、それでも被害者は亡くなっている。

 現在、無期懲役は限りなく(仮釈放がない)終身刑化していると指摘されている。仮釈放が認められた幸運なケースでも服役期間は30年を大きく超えているのが現状だ。女性に万一のことがあれば、橋本涼太、竹下孝幸の2人には間違いなく無期判決が下され、還暦前後になるまで娑婆に戻ることは出来なかっただろう。運が悪ければ、一生刑務所暮らしだった。女性が無事だったことは、自分たちにとっても幸運だったと思い知るべきだろう。

 <追記>両被告に対する判決が2014年8月26日、福岡地裁小倉支部で言い渡された。運転していた橋本被告が懲役15年(求刑同22年)、従犯扱いとなった竹下被告が同9年(同13年)。ずいぶん優しい裁判長だったようだ。
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