一票の格差訴訟、狙いは?

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 今年7月の参院選を巡る「一票の格差」訴訟で、広島高裁岡山支部が格差は違憲であり、選挙は無効との判断を下した。続いて12月には15高裁・支部で判決が予定されている。これらの訴訟を起こしたのは弁護士有志だが、彼らの活動の母体となっていると思われる団体が「一人一票実現国民会議」というNPO法人だ。

 ネット上では「自民党大勝を帳消しにしたい左翼弁護士が策動している」といった意見が散見されるが、国民会議の発起人・賛同者の顔触れを見ると、必ずしもそうとは思えない。名前を連ねている経済人、言論人はむしろ、古い映画の宣伝文句を借りれば「オオカミは生きろ。ブタは死ね」的な思想を持っている人が多いのではないかと個人的には思っている。私の偏見だったら、申し訳ないが…。

 ちなみに「一人一票実現」運動の創始者的存在であり、国民会議の中心メンバーでもある升永英俊弁護士はみんなの党の支持者だという。同党が主要政策の中で<1票の格差を完全になくす「完全1人1票比例代表制」を導入>を訴えていることが大きな理由らしい。都道府県を単位とする選挙区制は廃止すべきという主張のようだ。

 では“完全1人1票比例代表制”で7月の参院選が行われていた場合、各党の議席はどうなっていたのか。実際に各党が獲得した比例票に基づき、改選の全121議席を割り振ってみたところ、下表のようになった。左の数字が実際の獲得議席、右が試算結果だ。なお、実際の獲得議席にはこのほかに、選挙区で諸派・無所属(山本太郎氏ら)が得た3議席がある。


 選挙区選で圧勝した自民党が大幅に議席を減らす一方、公明、維新、共産、みんなの各党にはかなり上積みがある。また、実際にはゼロだった生活、新党大地、緑の党、みどりの風が議席を得ることになる。よく指摘されることだが、小政党に比較的有利な制度で、多様な民意が反映されるとは言えそうだ。この選挙での比例選には5300万票あまりが投じられているが、42万票あまりで1議席が獲得できる計算だった。

 こういった小党乱立状態では与党の暴走といった事態は避けられることだろう。一方で、毎回選挙の度に同様の状態になったのでは安定政権は生まれにくくなり、政党の離合集散ばかりが続く事態に陥るのではないかという危惧も感じる。妙な隣人ばかりに囲まれるちっぽけな島国の政治の在り方としてはいかがなものだろうか。

 「一票の格差」是正を訴えている人たちは、本当に不平等の是正だけが目的なのだろうか。それとも新たな選挙制度によって生じる政治状況に何らかの狙いがあるのだろうか。正直なところ、良くわからない。

 
 写真は参院選福岡選挙区のポスター掲示板。なぜ、こんなものを写真に収めていたかというと、共産党の候補者と比例選に立候補していた幸福実現党の党首が何となく似ているような気がして、2人の写真を見比べていたという実にくだらない理由だ。6人の候補者のうち、1人は公職選挙法違反事件で被告となり、先日有罪判決が下された。

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