大手門住宅の跡地


 福岡市中央区大手門1で続いていたUR大手門住宅の解体工事が終わり、明治通り沿いに結構な広さの空き地ができている。跡地はどうなるのかは知らないが、交通の便や景観に優れ、オフィスビル用地としてもマンション用地としてもそこそこ人気の場所だ。恐らく駐車場などとして塩漬けされることなく、それなりの規模の建物ができることだろう。

 大手門住宅は1965年の竣工で、9階建て。1、2階がオフィスで、解体前には居酒屋チェーンなどを展開する益正の本社や熊谷組の九州支店が入居していた。熊谷組の玄関には2006年の暮れ、銃弾が撃ち込まれたことがある。普段は地下鉄で通勤しているのだが、この事件当日の朝、たまたま歩いて会社に向かっていたら、大勢の警察官が現場検証しているのを目撃し、何事かと驚いたことを覚えている。その2年後には、別の場所で殺人事件直後の緊急配備に出くわしたこともある(「野地卓被告が奪ったもの」)。こういった経験ができるのも“福岡ならでは”なのだろうか。

 私自身は記憶していないのだが、大手門住宅にはずいぶん昔、サントリーが入居していたという。建物の正面玄関にはサントリーのロゴマークがそのまま飾られ、下の写真は解体前の2012年5月頃に撮影したものだが、シャッターにも「SUNTORY」の字とロゴが残されていた。この状態でほかの企業が入居していたのだから、おおらかなものである。

 大手門住宅取り壊しは、14兆円の負債を抱えるURの経営スリム化策(2007年に策定したUR賃貸住宅ストック再生・再編方針)の一環。2018年頃までをめどに、全面借地方式で建てられ、老朽化が進んだ市街地住宅については所有者に譲渡、または更地にして返還する計画で、対象物件は大手門住宅のほかに福岡市内だけでも20件以上ある。その中には市内7区役所のうち、東、博多、南、早良、西の5区役所に合築されている住宅も含まれている。

 区役所合築住宅はすべて土地所有者が福岡市自身とあり、先行きについて市自身は特に焦っていないように見える。建物の譲渡を受けて市営住宅とする考えなのかもしれないが、いずれも古い住宅であり、耐震補強をはじめとする大がかりな改修が必要になるだろう。区役所を含めて建て替えとなると、さらに巨額の予算が必要になる。先々は大きな課題となるのではないだろうか。

 <訂正>「恐らく駐車場などとして塩漬けされることなく、それなりの規模の建物ができることだろう」と書いたのだが、訂正させていただく。3月18日に跡地の前を通りかかったところ、間もなくコインパーキングがオープンするとの告知が掲示されていた。私が思った程にはこの一帯にビル需要はなかったようだ。一帯にある既存のオフィスビルを注意深く観察してみると、なるほど「入居者募集中」という物件が非常に多かった。18日発表の公示地価によると、大手門1の地価は上昇してはいるのだが。


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