横山ゆかりさんのポスター

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 長崎自動車のパーキングエリアで、横山ゆかりさんについての情報提供を呼びかけるポスターを目にした。1996年7月、当時4歳だったゆかりさんは群馬県太田市のパチンコ店から何者かに連れ去られ、今も行方不明のままだ。

 群馬で起きた事件のため九州では比較的なじみが薄いが、5人の女児が殺害、または行方不明となっている「北関東連続幼女誘拐・殺人事件」の一つ。5件の事件の中で、唯一時効を迎えていない事案でもある。一連の事件の中には菅家利和さんの冤罪で有名な足利事件も含まれる。5事件を時系列で並べると、以下の通りだ。

  • 79.08.03 栃木県足利市の神社から5歳女児が失踪。6日後、渡良瀬川河川敷で遺体発見。
  • 84.11.17 同市のパチンコ店から5歳女児が行方不明に。1年4ヶ月後、失踪現場から2.4km離れた畑で遺体発見。
  • 87.09.15 群馬県太田市の公園から8歳女児が姿を消す。1年2ヶ月後、利根川河川敷で遺体発見。
  • 90.05.12 栃木県足利市のパチンコ店駐車場から4歳女児が失踪。翌日、渡良瀬川の河原で遺体発見=足利事件。
  • 96.07.07 横山ゆかりさん事件。

 長崎道のPAに貼られていたポスターは、群馬県警が昨年7月に新たに作成し、全国に配布したうちの1枚らしい。現在は22歳となったゆかりさんの想像画を中心に、誘拐犯と目されるサングラス、ニッカズボン姿の男の防犯カメラ画像が配されている。誘拐事件から18年、ポスターを目にする限り、ゆかりさん、ニッカズボン男の行方を追い続ける群馬県警の執念を感じないでもない。しかし、一連の事件を追い続けているジャーナリスト、清水潔さんによると、群馬県警は真犯人(清水さんは「ルパン」と呼んでいる)を知りながら野に放ったままだという。

 なぜ、そのような不作為がまかり通っているのか。清水さんの言葉を信じれば、真犯人が逮捕され、DNA鑑定が行われれば、警察側(科警研)が過去に行ってきたDNA鑑定に重大な疑義が生じる恐れがあるためらしい。その中には、DNA鑑定結果が証拠の一つとなって死刑判決が下され、そして久間三千年・元死刑囚の死刑がすでに執行された飯塚事件も含まれる。飯塚事件の証拠構造が揺らげば、死刑制度はおろか日本の司法そのものが揺らぐ。だからこそ、「ルパン」を捕えるわけにはいかないのだという。

 その飯塚事件。遺族による再審請求を認めるか否かを福岡地裁が今月31日に決めるという。弁護団は飯塚事件のDNA鑑定結果を「捏造されたものだ」と主張しているが、上記の事情を踏まえれば、裁判所が再審を認めるとは思えない。しかし、北関東連続幼女誘拐・殺人事件の不作為をただすには、飯塚事件の再審を突破口にする以外にないという気がする。

 久間・元死刑囚の冤罪説を必ずしも信じているわけではないが、裁判所が死刑の論拠とした状況証拠の数々は一人の人間を死刑台に送れる程強固なものとも思っていない。DNA鑑定という重要な証拠に疑義があるのならば、再審で徹底的に争うべきだろう。過去の司法の失敗を隠蔽するため犯罪者を野放しにするなど、二重の不正義が許されて良いはずがない。再審開始決定の可能性は限りなく低いとは思うが、過去の判例を見ていると、福岡地裁の裁判官には突拍子もない判決を下して妙に目立ちたがる輩が多い気がする。今回ばかりは、それに期待したい。

 飯塚事件に関して以下の記事を過去に書いている。
 「飯塚事件、再審の扉開くか」
 「続・飯塚事件、再審の扉開くか」

 <2014年3月31日追記>福岡地裁が飯塚事件の再審請求を棄却した。DNA鑑定の信頼性に疑いを差し挟みながらも、残る状況証拠の数々で有罪認定は動かないということらしい。死後再審のハードルはやはり高い。

 
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