東福岡相手に14人

旧聞に属する話2010-東福岡変更

 高校ラグビー日本一の東福岡高相手に、ある県立高校が14人で戦いを挑み、5-138の記録的大差で散った。1月24日に行われた高校ラグビーの福岡県高校新人大会準々決勝の1試合だ。

 この県立高校の部員は16人。うち1人が故障で出場できない状態で、もともとリザーブなしで新人大会に臨んでいたらしい。初戦の3回戦は突破したものの、この試合でFWの要ナンバーエイトが鼻骨を骨折。当然ながら、医者にはすぐに手術するよう勧められたが、手術を受けると、試合に出場できなくなる。彼は手術を東福岡戦後に遅らせることにし、普段通り練習を続けていたという。

 だが、不幸にも試合直前の練習でまたけがを負ってしまう。こうなっては是非もない。チームは14人で、あの東福岡と戦うことを決断した。ただ、キックオフの時に15人そろっていないと試合は成立しないため、負傷のナンバーエイトは最初だけ出場し、ゲームが切れ次第、退くことになった。残る14人のうち、7人が1年生。高校でラグビーを始めた者が大半だ。彼らは「試合が終わって無事だったら、ラーメンを食べに行こう」と約束していたと聞いた。冗談交じりとはいえ、悲壮な覚悟だったようだ。

 この高校、ベスト8に残っているのだから、基本もできていないようなチームでは決してないが、何しろ相手が悪すぎる。FWの平均体重ひとつをとっても20kgは重い相手だ。そのうえ1人少ないのだから、試合は一方的なものとなった。時折強烈なタックルで東福岡のノックオンを誘っても、スクラムでマイボールをまったく維持できない。前半を終わって0-67。

 後半も開始早々に東福岡が1トライ。一家言ありそうな外野席から相当に辛辣な声も飛び交い始めた時、ちょっとした異変が起こった。相手のプレッシャーにまったく太刀打ちできなかった7人のFWが、スクラムを耐えに耐えてBKにボールを供給したのだ。これを大事に展開し、最後は1年生ウイングがタッチライン際を激走し、ゴールに飛び込んだ。だが、この1本が東福岡の闘志にさらに火をつけ、前半以上のトライラッシュとなった。

 5-138。格闘技ならとっくにタオルが入っているようなスコアだ。ラグビーは実力差が試合に出やすい競技で、番狂わせなど滅多に起きないと言われる。全国大会の佐賀県予選では過去に300-0のゲームもあったと記憶しているが、どんなに大差がついても野球のようにコールドゲームはない。力劣る者は、まさに完膚なきまでにたたきのめされる過酷さだ。屈辱的敗戦の中、1本のトライを糧に、県立高の選手たちはどこまで成長できるか。15対15での再戦に期待している。
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