福岡のセミはミンミンと鳴かない

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 梅雨が明けた途端、猛暑が来た。18日の福岡市の最高気温は33.2度。澄み渡った青空には入道雲が湧く一方、セミの鳴き声がシャワーのように降り注ぎ、体感温度を高めていた。だが、全国的には最高気温が35度を超える「猛暑日」となったところも多く、比較的“涼しい”部類だったらしい。

 ところで、タイトルでも書いたセミの鳴き声の話である。以前、この話題で家族と話をしていて少し驚いたことがある。セミの鳴き声は「ミーンミーン」だと信じているのだ。私の知る限り、このように鳴くミンミンゼミは九州の平地にはいない。この鳴き声を九州で聞くことができるのは、山間部などごく限られた地域だ。九州生まれ九州育ちの彼女が、ミンミンゼミの鳴き声を聞いて育ったわけがないのだ。

 しかし、東京で制作されたテレビ番組の中では、当然ながらこの地に生息しているミンミンゼミが鳴いている。実生活の中でセミへの関心がまったくなかったので、テレビから聞こえてくる鳴き声の方が刷り込まれてしまったのだろう。彼女だけの話かと思ったが、念のため、身の回りの九州人に同じような質問をしたら、やはり「ミーンミーン」と答えた人が少なからずいた。結構興味深い話ではないかと思う。

 では、九州のセミは何と鳴くのか? 近年、生息しているのは圧倒的にクマゼミが多く、鳴き声は昆虫図鑑などでは「シュワッシュワッ」と表現されている。ただし、福岡では「ワシワシ」と聞こえる人が多く、中高年世代の間ではセミ自体もワシワシの名前で呼ばれている。透明な羽根を持った巨大なセミで、鳴き声も大音量。私の子供時代は生息数が少なく、かなり貴重な存在だった。

 おぼろげな記憶だが、梅雨が明けると、まず小型のニイニイゼミが頼りない声で鳴き出し、続いて比較的大型で全身茶色のアブラゼミが登場。ほぼ同時期、クマゼミが限られた木に現れる。最後にツクツクボウシが物寂しげな鳴き声で「夏休み」の終わりを告げ、子供たちを絶望的な気分にさせるという流れだった。ところが、現在はクマゼミがいきなり「ワシワシ」騒ぎだし、ニイニイゼミの声を聞くことはほとんどなくなった。クマゼミが都市化に適応して生息域を広げたという話を聞いたこともあるが、実際のところはどうなのだろう。

 セミ捕り少年など滅多に見ない世の中だ。昔は悪ガキを警戒して高い木にしかいなかったクマゼミたちだが、今では低い木に鈴なりなっていたりする。すっかり安心しているのだろう。
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