福岡城復元、始動へ

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 一昨年6月から続いていた福岡城・上之橋御門跡の石垣修復工事がいつの間にか終わり、修復前に比べてかなり引き締まった石垣が姿を現している。福岡市は続いて、先頃策定した「国史跡福岡城跡整備基本計画」に基づき、長年の懸案となっていた福岡城跡の復元工事に本格的に取り掛かる。

 計画によると、城跡整備は今年度から15年がかりで行われる。潮見櫓、武具櫓、上之橋御門、本丸裏御門などの復元や現存する多聞櫓などの改修を短期(今年度から5年間)、中期(2019~28年度の10年間)の2期に分けて進めるという。このうち原案で真っ先に復元されることになっているのは、部材が解体保管されている潮見櫓だ。場所は、福岡簡保事務センター横の土塁上で、城跡の西端に当たる(写真下)。

 ただし、天守に代わるシンボル的建物を欲しがっている高島市長は、最大の櫓だった武具櫓復元に前のめりだと言われる(「福岡城の武具櫓」参照)。この櫓の復元は計画では中期に予定されているが、城跡整備に関する報道等を読む限り、武具櫓の方が優先されそうな雲行きだ。

 一方、長い間潮見櫓だと信じられてきたが、近年になって間違いだったと判明、現在では“「伝」潮見櫓”という紛らわしい呼ばれ方をしている櫓が下之橋御門横にある(写真下2枚目)。謎だったこの建物の正体を、市は太鼓櫓とほぼ断定したようで、本来あった本丸に中期で移築復元する計画だ。上之橋御門、本丸裏御門の復元なども中期で予定されている。これら城跡整備にかかる総費用は約70億円と見込まれており、市はうち3億5000万円を市民や企業からの寄付で賄う考えだという。

 70億円を事業期間の15年で割れば、1年当たりの予算額は4億7000万円弱。大きな金額であるのは間違いないが、一般会計予算が7000億円を大きく超える福岡市にとって捻出困難な額ではないはずだ。また、復元が予定される建物については古写真などの資料が比較的良好に残っており、史実を歪めない形での建設が十分に可能だろう。一見、福岡城跡の整備事業に大きなハードルはないようだが、少し気になるところはある。

 城跡整備は福岡市の長年の懸案だったとは言え、ここに来て急に具体化してきたのは、都市型観光の振興(ばかり)に力を入れる高島市長の存在が大きいと思う。しかし、高島市長の任期切れは間もなくで、11月16日には市長選が予定されている。高島市長の再選立候補は確実視されているが、色々と批判の多い人物だけに、盤石の選挙とはいかないだろう。万が一、市長交代があった場合、観光地づくりの側面が色濃い今回の福岡城跡整備は果たして無事でいられるだろうか。


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