福岡市の地域経済を支えているのは

2015福岡市予算案

 福岡市と他政令市の予算を見比べると、福岡市の歳入に特徴的な点があるのに気付く。「諸収入」の占める割合が非常に高いのだ。例えば、先頃発表された福岡市の2015年度一般会計当初予算案では、諸収入の額は1,376億円で、歳入全体(7,819億円)に占める割合は17.6%(上表の緑枠で囲った部分。市の予算案発表資料から)。これは市税の2,743億円(歳入に占める割合は35.1%)に次ぐ数字で、国庫支出金1,368億円(同17.5%)さえ上回る。

 福岡市以外の政令市18市で、諸収入の歳入に占める割合が最も高いのは京都の12.5%、続いて名古屋11.9%、札幌11.5%、千葉10.8%、神戸10.3%の各市の順。残る13市はひとけただ。なお、1月に市長選が行われたため3ヶ月分の暫定予算案となっている北九州市は除いたが、前年度の当初予算案では諸収入の割合は17.5%となっている。諸収入の割合が突出して高いのは、福岡県内2政令市に共通する特徴のようだ。

 ところで、諸収入とは何なのか。例えば、公式サイトのバナー広告料などが含まれるらしいが、もちろん福岡市が1,300億円に上る広告収入を得ているはずがなく、大半は商工金融資金(制度融資)の預託金であるらしい。商工金融資金とは、福岡市が地場中小企業の資金繰りや創業支援などのために設けた低利の融資制度で、市が1,000億円以上を金融機関に預託し、金融機関側が中小企業に協調融資する仕組みになっている。

 預託金は年度末にはいったん償還されることになっており、これが巨額の諸収入の正体だ。だから自由に使える金ではなく、そっくりそのまま新年度予算案の歳出に貸付金として計上され、再度金融機関に預けられることになる。

 市が公表している資料によると、1991年のバブル崩壊以降、金融機関の貸し渋り・貸し剥がしが社会問題となる中で、制度融資に救いを求める中小企業が右肩上がりで増加した。とりわけリーマンショックが起きた2008年度には新規貸付額が前年度の3倍近い2,141億円に激増し、年度末の融資残高はピーク時の2010年度には3,523億円にも膨れ上がった。やや減ったとは言え、融資残高は現在も3,000億円に上り、利用企業は24,000社を超えているという。商工金融資金の充実が福岡市での起業のしやすさを生んでいるという評価もある。

 諸収入の割合の高さに初めて気付いた時、実は財政破綻した北海道・夕張市が思い浮かんだ。夕張市は金融機関からの借入金を第3セクターなどに貸し付けた上で、償還金を諸収入として一般財源に繰り入れ、身の丈を超えた公共事業を展開していたとされる。実態は借金による大盤振る舞い。福岡市の諸収入にも似たような“からくり”があるのではと疑ったのだが、実態がわかって見れば、地場中小企業を支援するための非常にまっとうな仕組みだった。もちろん、制度融資にも色々課題はあるらしいし、巨額の預託金が福岡市の予算規模を実態以上に大きく見せ掛けているという気はするが。

 古くからの政令市は福岡市同様、独自の制度融資を持っている。その中で、福岡市の諸収入(ほぼ商工金融資金の預託金)の割合が突出して高い理由まではわからなかったが、要するに制度融資に頼らざるを得ない中小企業がそれだけ多く、行政の下支えなしには地域経済が成り立たないということではないかと思える。経済や地方財政については全くの門外漢なので、こういった問題について書くのは気が引けたが、巨額の諸収入を不思議に思ったので取り上げてみた。市の当初予算案や商工金融資金については以下にリンクを貼った。

 ※福岡市の新年度予算案
 ※商工金融資金の概要については市中小企業サポートセンター
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