こども病院移転論争

旧聞に属する話2010-こども病院

 11月に福岡市長選がある。現職の吉田宏氏(民主党に推薦申請中)をはじめ、元佐賀市長、元福岡市総合図書館長らが続々と名乗りを上げており、乱戦が予想されているが、こども病院移転問題が今回も大きな争点となりそうな気配だ。

 こども病院は現在、福岡市中央区唐人町という場所にある。「中央区」の名前が示す通り、比較的市の中央部に近い立地だ。病院の完成は1980年8月。当時、兵庫県より西では初の小児専門病院であり、開院以降、先天的臓器奇形の子供など、これまで助からなかった小さな命を続々と救い、他県からも多くの患者を受け入れてきた。

 移転問題が出てきたのは、市側の説明によると「老朽化に加え、手狭となった現施設では高度な専門医療に対応できない」ということらしい。駐車場が不足しているのも理由の一つだ。ただ、その移転場所が博多湾の人工島(アイランドシティ)だったため、論争を呼ぶことになった。人工島については以前、「福岡市政のお荷物」と書いたが、要するに市や第三セクターが巨費を投じて埋め立てたものの、広大な土地が売れ残っているのだ。

 人工島移転が、この失敗を取り繕うためなのは明らかであり、病院利用者の間から「子供の命にかかわる施設なのに、政治的要因だけで場所が左右されるとは」と猛反発が沸き起こった。人工島に鉄道がないことや、埋め立て地のため耐震性が心配という意見があること、さらには人工島を移転場所と決定するまでのプロセスが極めて不透明なことも反対運動に拍車をかけている。一方で、人工島に移り住んだ住民からは「アイランドシティのどこが問題だ」と不満が出ており、市民間の対立にまで発展する様相だ。

 現在までに立候補を表明している顔ぶれのうち、現市長は当然ながら人工島推進派。ただし、この人は4年前、人工島移転見直しを掲げて当選した経緯があり、なぜ変心したかはよくわからない。冒頭、「今回も大きな争点となりそうな気配」と書いたが、4年前もそうだったわけだ。残りは移転反対派と思われるが、候補地については色々意見があるようだ。自民党がまだ、候補者擁立に至ってはいないが、この党は完全に推進派。仮に擁立に失敗した場合、こども病院移転問題に限れば、支持関係でねじれが生まれる可能性もあり、このあたりも注目されるポイントだ。
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