切り倒されたイチョウ

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 福岡市南区長住2丁目と長丘1丁目に面した大池通りで先頃、歩道に植えられていた街路樹のイチョウが市によって根こそぎ引っこ抜かれ、その跡がアスファルトで埋められている。通りを歩くと、まだコールタール特有の匂いが残ったアスファルトの区画に次々出くわし、相当数のイチョウが伐採されたことがわかる。なぜ、こんな無残なことをしたかというと、歩道拡幅の邪魔になったためだという。

 秋には通りを黄色に染め、一帯の名物でもあったイチョウだが、イチョウが植えられているために狭いところでは歩道幅が1㍍未満。歩行者と自転車が交錯して非常に危険だったらしい。だったら自転車は車道を走らせれば良さそうなものだが、この辺りは車道も狭く路側帯はないに等しい。市には「安心して歩けるようにして欲しい」という要望が以前から寄せられていたのだという。一方で、伐採が決まると、中止を求める声が近隣住民から上がったが、もはや予算も通った話であり、こちらは門前払いだったようだ。

 今のところ、伐採されたのは長住3丁目交差点から2丁目交差点の手前までで(地図参照)、その東側はまだ無事だが、イチョウが歩道を狭くしている状況は同じ。この付近のイチョウも次々に切り倒されていくのだろう。跡地をアスファルトで埋めるのは恐らく応急措置で、いずれ歩道改良工事が行われるのではないだろうか。

 南区には、大池通りからも程近い場所に有名な「桧原桜」がある。1984年春、開花を目前にした桜が道路拡張工事で切り倒されることになり、悲しんだ市民が助命を訴える和歌を桜の枝につるした。これを知った当時の市長・進藤一馬氏が返歌で伐採中止を約束し、進藤氏は後に「筑前の花守市長」として全国から称賛を浴びた。今回のイチョウ伐採は他に方法がなかったのかもしれないが、花守市長ならばどうしただろうか。

 歩道と街路樹の問題と言えば、東区の香椎参道もかなり深刻な状態だと思う。参道には大正時代、165本のクスが植えられ、大木に育った現在では、通り全体を緑のトンネルで覆っている。福岡でも有数の美しい通りだ。

 だが、大きく張った根のために歩道はデコボコと波打ち、点字ブロックも悲惨な状態になっている。車いすやベビーカーはもちろん、高齢者も歩きにくいはずだ。あちこちで応急処置はされているようだが、このままでは状況は悪くなる一方だろう。こういった街路樹の“根上がり”は全国的にも問題になっているらしく、横浜などでは抜本的な改良工事が試みられていると聞く。貴重なクス並木を守るためにも、福岡市は先行事例を研究してはどうだろうか。


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