松中のホークス退団

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 福岡市内に「松中通り」と一部で呼ばれる道がある。公式な愛称ではない。プライバシーに関わるので詳しい住所は控えるが、この道沿いにホークス退団を表明した松中の豪邸があるため、誰言うともなく名が付いた。タクシーに乗っても「松中通りのスーパー前まで」で通じることも多い。ここ数年、一軍で満足な活躍はできなかったが、“最後の三冠王”はやはり福岡ではスーパースターだった。この豪邸から巨大な外車で球場に向かう姿は実に颯爽としており、憧れる野球少年は多かったことだろう。

 福岡ダイエーホークス時代の話になるが、ホークス選手による野球教室に家族の付き添いとして参加したことがある。新人だった寺原が大人気だった年だから、2002年の話だ。ドームでのオープン戦後、一軍選手全員が参加して開かれた何とも豪華な野球教室で、小学生の子供がいるとは到底思えない年齢のご婦人達も多数グランド内に乱入し、間近で選手を見て喜んでいた。その中の一人が、子供たちを指導中の松中に「松中さん、少しやせたんじゃないの」とぶしつけに話しかけ、これに松中が「わかります?」と嬉しそうに答えたのを覚えている。意外に気さくな姿に驚いたものだ。

 この教室では、今では“釣り人”になってしまった城島や、現在もコーチとしてホークスに在籍している鳥越らの話を子供たちに交じって聞いたが、彼らが熱心に訴えていたのは期せずして同じだった。
 「君たちが持っているグローブはお父さん、お母さんが一生懸命に働いて買ってくれたものだ。野球がうまくなるために一番大事なのは、お父さん、お母さんへの感謝を忘れず、道具を大切にすること。そうでないと絶対に上達しない」

 彼らのプレーに感動することは多々あるが、まさか野球教室で感動することになるとは思わなかった。大げさでなく、目頭を押さえて城島らの話に耳を傾けていたお母さんもいた。勝手な想像だが、子供にグローブを買い与えるため本当に一生懸命働いていた方なのだろう。この野球教室に参加した選手で、今季も現役選手としてホークスに在籍していたのは松中、寺原の2人だけ。来季は寺原だけになる。若手の有望株が次々出てくるホークスだが、それでも急に寂しくなった。(松中の写真は一昨年撮影)
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