ふくおか会館解体へ


 東京・半蔵門にある「ふくおか会館」の取り壊しが来年1月から始まるらしい。ふくおか会館と言っても、ある程度年齢のいった福岡県民以外は存在さえ知らないと思うが、福岡県東京事務所や、今年3月まではビジネスホテルが入居していた県有施設だ。かつては東京都心に数千円台で泊まれる貴重極まる存在だった。大学受験で利用した県民も多いと聞く。私自身はバブル時代、東京出張の際によくお世話になったが、県庁マンの利用が優先だったらしく、予約が取れないことも多かった。その場合は民間ホテルに泊まらざるを得なかったが、宿泊料金は軽く2倍で、貧乏サラリーマンには痛すぎる出費だった(バブル時代には、会社規定の出張旅費をおおむね実費が上回り、超過分は手出しだったのだ)。

 ふくおか会館があるのは正確には千代田区麹町1で、皇居の半蔵濠に面し、北隣には英国大使館がある。敷地の広さは約2,470平方㍍(750坪)。福岡県がなぜ、都内の一等地にこれだけの広さの土地を所有しているのか? 以前、不思議に思って来歴を調べたことがある。福岡藩の屋敷跡を譲られたのではないかと勝手に想像していたが、全くの見当違いで、終戦から間もない1950年3月、福岡県東京事務所の用地として約500万円で取得したものだという。

 会館の南隣にあるビル(TOKYO MXの本社が入居している)敷地が地価公示の対象となっており、今年発表された地価は1平方㍍当たり302万円。この数字をそのまま当てはめると、現在の土地価格は74億5,940万円にもなる。地価がさらに高かったバブル時代、この土地は「福岡県の埋蔵金」などと呼ばれていたという。1950年当時の福岡県には先見の明があったというほかない。

 会館の現建物完成は1979年3月で、築36年。取り壊しの理由は、老朽化により巨額の修繕費が必要なためだという。ホテルの運営はスカイコートホテルに委託されていたが、経営自体は順調だったらしい。民間の安価なパックツアーが出回り、かつてほどに宿泊料金の安さは魅力ではなくなったが、やはり霞ヶ関等にも近い地の利もあってか、客室(計84室)の稼働率は悪くなかったようだ。まるで価格競争に敗れたかのような報道があるが、どうも違う気がする。

 跡地は渡辺地所、住友不動産、西日本新聞の3社グループに貸し出され、3社は2018年6月完成を目指して地上7階、地下1階のオフィスビルを建設する。福岡県東京事務所はこのビルに入居することになるが、県が3社に支払う賃料が年間約4,500万円なのに対し、3社から受け取る土地代は年間3億4,000万円。差し引き2億9,500万円の黒字。やはりこの土地は「福岡県の埋蔵金」だ。

 なお、江戸時代に福岡藩邸が本当にあったのは、上屋敷が現在の外務省の辺りで、これは割に知られている。中屋敷は赤坂溜池、下屋敷は白金、渋谷にあったらしい。これまた現在では超一等地ばかりだ。ふくおか会館の写真を撮影した記憶があったのだが、見つからなかったので福岡県庁の公式サイトから拝借した。
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