静かな大宰府政庁跡

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 太宰府市に行き、九州国立博物館で開催中の『美の国 日本』を見た後、大宰府政庁跡を散策してきた。平日だったが、大駐車場には次々に観光バスが到着し、太宰府天満宮の参道は修学旅行生と中国人の団体客で埋め尽くされていた。天満宮は「学問の神様」として全国的にも有名らしいので、修学旅行生が参拝するのは理解できないでもないが、なぜ中国人にまで人気があるのかは正直、謎だ。梅が枝餅でも爆買いしているのだろうか。

 大混雑していた太宰府天満宮、九州国立博物館をよそに、国の特別史跡、大宰府政庁跡ではボール遊びに興じる高校生の一団や、犬の散歩をする近隣住民らしき人を見掛けただけだった。礎石のレプリカがあるほかは、石碑が3基建っているだけ。古代の「遠の朝廷」の面影など全くなく、見た目は芝生の多目的広場でしかない。だから、「ももクロ男祭り」の会場になったりもする。

 男祭りに対しては地元の市民グループが「男女差別の催しに市が協力するのはけしからん」と非難の声を上げ、一部報道で話題になったが、私はむしろ、特別史跡でのアイドルの野外コンサート開催を文化庁や太宰府市などの行政サイドが許したことに驚いた。しかし、よくよく調べてみると、この場所では過去にも南こうせつさんのコンサートや薪能などが開かれ、地元の祭り会場としても利用されてきたことがわかった。見た目だけでなく実態も“多目的広場”だったのだ。

 史跡として開発から守られているのだから、礎石のレプリカと芝生だけでも十分という考え方もあるのだろうが、古代を代表する外交・防衛・行政拠点の大遺跡でもあり、個人的にはもう少し色気があっても良い気がする。太宰府市議会内にも一部建物の復元や、この政庁跡をはじめ市内各所にある名所・旧跡を観光客が回遊する仕掛けづくりを求める声があるが、財政難もあってか実現は遠いようだ。もっとも、巨費を投じる箱もの建設を巡って市は揺れ続けているようだが。

 ところで、『美の国 日本』は九州国立博物館の開館10周年を記念した特別展で、数々の国宝、重文級の美術品が展示されていた。私が見たかったのは青森県・亀ヶ岡遺跡出土の遮光器土偶(重文)、新潟県・笹山遺跡出土の火焔型土器(国宝)の二つで、まさにこの2点が会場入り口近くで来場者を出迎えていた。これですっかり満足した私は残る展示品は適当に見ただけで、全く関心のない書画に至っては完全にスルーした。私よりずいぶん後に会場から出てきた家族には「もったいない」と呆れられたが。博物館では中国人観光客の一群は見掛けなかったが、隋の煬帝の墓からの出土品(中国からの借り物)なども展示されており、意外に彼らの興味もひいたのではないだろうか。
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